生団連・臨時総会で握手を交わす生団連新会長の小川賢太郎・ゼンショーホールディングス会長兼社長(左)と前会長のライフコーポレーション清水信次会長(右)(2017年1月27日撮影)

(震災からの復興が)「単なる復興にとどまる場合には、日本経済は没落に向かう」

 東日本大震災が起きた年の2011年8月4日、経団連(日本経済団体連合会)経済政策委員会企画部会で講演した戸堂康之・東京大学教授(当時)は、日本経済の行く末に警鐘を鳴らした。

 日本の1人当たり実質GDPはアメリカとの差が開く一方であり、今や新興国にも追い抜かれようとしている。日本経済はグローバル化と産業集積によって復興を超えた飛躍的成長を果たさなければ未来はない──、という厳しい指摘だった。

 この日本経済に対しての「没落する」という警告は、今や経団連自身にも向けられていると言えそうだ。東芝の転落は、まさに経団連の時代が終わりつつあることを予感させる。

経団連の歴史的役割は終わった

 経団連の構成企業や団体は長らくほぼ製造業、しかも「重厚長大産業」が中核を占めてきた。流通サービスなど第3次産業もかなり含まれているものの、実質的に経団連は、戦後の高度成長を支えてきた重厚長大産業の代表者が牛耳ってきた経済団体である。

 経団連会長はかつて「財界総理」と呼ばれ、政官界に絶大な影響力を誇った。東芝は石坂泰三氏、土光敏夫氏という2人の経団連会長を輩出している。石坂氏は貿易・為替の自由化、資本自由化を政府に強く迫り、土光氏は第2次臨時行政調査会、臨時行政改革推進審議会の会長として政府に行政改革を迫った。