(英エコノミスト誌 2017年2月18日号)

フリン補佐官、ロシア疑惑で一段と窮地に トランプ氏が「見極め」

マイケル・フリン米大統領補佐官。米首都ワシントンで(2017年1月20日撮影)。(c)AFP/SAUL LOEB〔AFPBB News

米国の大統領補佐官(国家安全保障担当)をめぐる大騒動

 16世紀のイングランドに駐在していたフランス大使、シャルル・ド・マリヤックが残した記録によれば、テューダー朝の国王ヘンリー8世は非常に気まぐれで、自分の約束さえ「どんな形にも変えられる軟らかいロウ」のように扱っていた。また非常に疑り深く、「誰一人信用していなかった」という。

 このド・マリヤックが今生きていたら、ドナルド・トランプ政権発足1カ月間の劇的な展開を目にして、どこかでよく見た光景だと思うことだろう。例えば、マイケル・フリン大統領補佐官(国家安全保障担当)が、駐米ロシア大使に不適切な発言をしたりそのことについて嘘をついたりしたとの疑惑を持たれ、2月13日付で解任されたことなどがそれにあたる。

 これらの出来事は、めったに見られないむちゃくちゃな政権が発足直後ゆえに苦労しているという次元の話ではなく、問題はトランプ氏の特異なマネジメントスタイルに根差しているように思われる。

 トランプ大統領は、国防情報局(DIA)長官を務めたことのある強気な物言いのフリン氏に以前は信頼を寄せていたが、その「信頼が徐々に損なわれたため」に辞任を要求したという。実際のところ、この決断は、トランプ氏が下したものの中では上出来の部類に入る。無神経で激高しやすく、党派心が強いフリン氏はこのポストに不向きだった。

 だが、トランプ氏がフリン氏を最近任命したばかりだったという事実、そして現状をこころよく思っていない政府高官からのリークによって次々に明るみに出てきた解任時の状況は、安心感を得られる話ではない。

 国家安全保障担当大統領補佐官の仕事には、冷静さと明晰な頭脳、優れたマネジメントスキル、そしてよほどのことがなければ動じない穏やかな気性が求められる。このポストで卓越した働きを見せた人はほとんどない。