(英フィナンシャル・タイムズ紙 2017年2月16日付)

米NYタイムズ、前編集長名義の偽記事にだまされる

米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times、NYT)の本社ビル(2011年4月21日撮影)。(c)AFP/Getty Images/Ramin Talaie〔AFPBB News

 新聞業界にとって2016年は極端な好不調が併存する年だった。紙の新聞への広告出稿が減少する一方で、北米と欧州の新聞社は、ブレグジット(英国の欧州連合=EU=離脱)やドナルド・トランプ米大統領の誕生といった世界を揺るがす出来事のおかげで再び活気づいたからだ。

 2017年に入って6週間になるが、業界の景気循環に減速の兆しは見られない。少なくとも米国では、この「関心の高まり」はホワイトハウスが「ニュースや論争の種を作り続ける」間は恐らく維持されるだろう、とニューヨーク・タイムズ紙のマーク・トンプソン最高経営責任者(CEO)は述べている。

 トランプ時代に入ってから、報道機関はサンドバッグのように叩かれながらも恩恵を享受している。ニューヨーク・タイムズは第4四半期だけにデジタル購読者数を27万6000人増加させた。この伸びは過去最高で、そのほとんどがトランプ氏の当選後に申し込まれたものだ。

 トンプソン氏はこのデータを用いて、同紙が「経営不振」だとか「フェイク・ニュース(偽ニュース)」を広めていると主張している大統領に反撃を試みた。購読者が「減っている」とトランプ氏がツイートした後に行われた決算発表の電話会議で、「そんなに悪くありませんよ、大統領閣下」と切り返したのだ。

 新聞業界はトランプ氏と戦う一方で、広告収入と新聞販売収入の面で厳しい状況に直面している。各社は紙の新聞の落ち込みをしのぎながら、フェイスブックとグーグルが支配するデジタル市場で競争し、今回の購読者数増加を新聞販売収入の持続可能な増加につなげなければならなくなっている。

 紙の新聞の広告収入は2016年の初頭に減り始め、その後も歯止めがかからなかった。ニューヨーク・タイムズと、米国内で日刊紙を29紙発行しているマクラッチィでは、第4四半期だけで紙媒体の広告収入が20%落ち込んだ。USAトゥデー紙を所有するガネットは、米国内で15%減らし、英国子会社のニュースクエストでも14%減ったと報告している。