(英エコノミスト誌 2017年2月11日号)

米支援、永続の保証ない=トランプ氏念頭、EUに警鐘-独首相

ベルギーの首都ブリュッセルで講演するドイツのアンゲラ・メルケル首相(2017年1月12日撮影)。(c)AFP/EMMANUEL DUNAND〔AFPBB News

ただし、問題なのはドナルド・トランプ氏が考えている理由からではない。

 何とタイミングの悪いことか。ドイツは2月9日、経常収支の黒字幅が約2700億ユーロ(ほぼ3000億ドル)に達したと発表した。中国をも上回る世界最大の経常黒字だ。一方、世界最大の経常赤字国は引き続き米国で、新大統領のドナルド・トランプ氏は「米国第一」の名の下に敵も味方も同様に脅しつけている。

 トランプ氏の経済問題のアドバイザーを務めるピーター・ナバロ氏に至っては、ドイツが為替操作をしているとさえ述べて非難している。それによれば、ドイツは米国やほかの国々を「搾取」している。旧ドイツマルクが今日も存続していた場合に想定される水準に比べれば、今日のユーロは安価であり、ドイツはそれを利用して自動車や機械などの品々の輸出競争力を高めている、というのだ。

 このほんの数週間前にトランプ氏が、輸入されるBMWに35%の税を課すと何気なく脅しをかけていただけに、ドイツでは上記のような発言が大いに注目を集めている。ルールに基づく貿易秩序へのトランプ氏の口撃は、北大西洋条約機構(NATO)や欧州連合(EU)を見下す発言とともに、戦後ドイツのアイデンティティーと国益の核心――平和な商業国家として欧州および西側の一員になること――を突き崩そうとするものだ。

 だが、そのように心配させることでドイツとの交渉を有利に運べるようになるとトランプ氏が考えているとしたら、それは甘いと言わざるを得ない。

 トランプ政権の誤りは、欠陥のある論理でドイツを攻撃しているところにある。確かに、ユーロは米ドルに対して安いが、それはほかの通貨も同じだ。ドイツ側はトランプ氏について、自業自得だと考えている。公約の大型減税とインフラ整備支出の増加は米国の金利水準をいずれ引き上げ、ひいては米ドル相場も押し上げるからだ。