主要産油国の減産ゲームに飽き始めた市場

需要の減少が減産効果を打ち消しに

2017.02.17(金) 藤 和彦
    http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/49197
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「OPECは原油の減産量を今年下半期にもう少し拡大すべき」(イランの石油相、2月7日)との声もある。イラン石油省は9日には「原油市場の需給バランスを回復するには、OPECと主要産油国が年後半も減産を実行する必要が生じかねない」と指摘した。ちなみに同相は「OPECにとっては1バレル=60ドルの原油価格が望ましい」としている。

 OPEC事務局も「原油市場の需給が均衡するのは年後半であり、今年後半に加盟国が増産に動けば、市場の過剰供給の解消が遅れるおそれがある」と懸念している。

割を食いたくないサウジアラビア

 しかし、サウジアラビアは今年後半も減産を続けることには拒否反応を示す。

 ロシアのエネルギー相は2月11日、「3月にサウジアラビア政府と減産合意の延長について協議する」と述べた。だが、減産合意の主役であるサウジアラビアは「現時点で延長の必要はない」との考えを変えていない。

 サウジアラビアが1月の原油生産量(日量974.8万バレル、前月より71.8万バレル減少)を維持すれば、夏場の国内の原油需要の増加に対応するため原油の輸出を減らさざるを得なくなり、当然、輸出収入は減少する。加えて「仇敵」のイランが減産の対象から外れていることを奇貨としてアジア市場でのシェアを拡大しており、サウジアラビアが内心忸怩たる思いであるのは想像に難くない。

 OPECは、5月25日に開催する次回の総会で、減産延長の是非を最終的に判断する予定である。しかし、「かつてのような『スイングプロデューサー(需給の調整役)』を引き受けることで自国だけが『割を食う』事態は、なんとしてでも避けなければならない」との方針にサウジアラビア政府が固執すれば、OPECの協調体制は一気に瓦解する可能性がある(大手格付け会社フィッチは「減産合意の延長がなければ原油価格は急落する可能性が高い」としている)。

鈍化する中国の新車販売

 筆者が常に注目している需要面はどうだろうか。

 カタールのエネルギー相は2月9日、「シェールオイルの生産が増加したとしても、世界全体の原油需要がその増加分を吸収する」と述べた。IEAも10日、「今年の世界の原油需要は日量140万バレル増加する」としており、需要は引き続き堅調であるとの見方を示している。だが、はたしてそうだろうか。

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経済産業研究所上席研究員。1960年、愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒。通商産業省(現・経済産業省)入省後、エネルギー・通商・中小企業振興政策など各分野に携わる。2003年に内閣官房に出向(エコノミック・インテリジェンス担当)。2016年から現職。著書に『日露エネルギー同盟』『シェール革命の正体 ロシアの天然ガスが日本を救う』ほか多数。

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