深刻な悩み、どうしても太りたい人へのアドバイス

「太れない」「痩せられない」の科学(後篇)

2017.02.17(Fri) 漆原 次郎
筆者プロフィール&コラム概要

――自分の筋肉の量が少ないかどうかを判断する方法はありますか。

鷲澤 これは主に高齢者対象にはなりますが、「指輪っか法」があります。両手の人差し指と親指で「輪っか」を作り、ふくらはぎの最も太い部分を囲ってみます。指の輪っかが届いてしまうと、筋肉が落ちていることになります。

 ただし、こうした簡単な方法以上のことを、一般の方が自分でやろうとすると、判断を誤ってしまうおそれがあります。インストラクターなどの専門家の指導のもとプログラムを組んで、体重を緩やかに上昇させながら、筋力を積極的につけていくような取り組みができるとよいと思います。

指輪っか法。指輪っかが届いたり、隙間をつくれたりすると、筋肉の量が落ちていると見なせる。

――それと、巷では「痩せているほうが長寿」という話も一部で聞かれますが、これについてはどう考えますか。

鷲澤 がりがりに痩せている人が長寿だというケースは、あまりないのではないでしょうか。もし、そういう話があるとすれば、関心が「肥満」「太っている」に向けられているとき、「痩せているほうが良い」という話題になるのだと思います。

食事情で変わる「痩せ」「太り」の見方

――「痩せている」「太っている」は多分に相対的という気がしてきました。「太ること」と「痩せること」の価値は、時代ごとに移ろうのではないか、と。

鷲澤 たしかに、日本人の食が商業ベースになったり、欧米化が進んだりして、いまでは「食が満たされる」という状況を超え、食の内容が偏るなどの課題も出てきています。

 しかし、それよりも前、戦後しばらくは、食糧難をどうするかという課題に取り組むことから始まりました。栄養学に携わる研究者や小児科医たちは、赤ちゃんや子どもを死なせずに育てるための研究をしてきたのです。

 戦後のある一時期は、栄養的に「これでよい」という満たされた状況があったのかもしれません。しかし、その後は社会全体で見てみると、食が多様化し、贅沢なほうに振れてきているのは確かです。食事情の変化には、良い側面と、そうでない側面があるものです。

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1975年生まれ。神奈川県出身。出版社で8年にわたり理工書の編集をしたあと、フリーランス記者に。科学誌や経済誌などに、医学・医療分野を含む科学技術関連の記事を寄稿。日本科学技術ジャーナリスト会議理事。著書に『日産 驚異の会議』(東洋経済新報社)、『原発と次世代エネルギーの未来がわかる本』(洋泉社)、『模倣品対策の新時代』(発明協会)など。


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