(英エコノミスト誌 2017年2月11日号)

米入国制限の大統領令、高裁が差し止め支持 政権に打撃

米首都ワシントンのホワイトハウスで上院議員らと会談するドナルド・トランプ大統領(2017年2月9日撮影)。(c)AFP/NICHOLAS KAMM〔AFPBB News

ドナルド・トランプ大統領は何らかの形で裁判所にその名を刻むことになる。

 米国は新大統領とともに、連邦裁判所が担う役割について学ぶ短期集中講座を受講している最中だ。

 ドナルド・トランプ氏がイスラム圏7カ国からの入国を禁止し、かつ米国の難民受け入れ計画も一時凍結するという大統領令を出してから1週間が経過した2月3日、シアトルの連邦地方裁判所はトランプ氏の計画を一時的に差し止める決定を下した。入国を禁止すれば米国がより安全になるという政府の主張には「裏付けがない」、というのが同裁判所のジェームズ・ロバート判事の判断だった。

 その4日後、政府はこの判決を不服として上訴した。だが、上訴先である第9巡回連邦控訴裁判所では、担当の判事3人のうち少なくとも2人は感心しない様子だった*1。今のところ、米国は永住権を得ている住民やビザ(査証)保有者、難民申請者に門戸を開いている。そしてトランプ氏は、自分の思い通りにならないという受け入れがたい感覚と向き合わければならない。

 邪魔が入った計画――ホワイトハウスの主張によれば、トランプ氏が2015年12月の遊説で初めて語った「イスラム教徒の米国への入国を完全に阻止する」こととは全く異なる計画――をめぐる戦いは、2つのルートで並行して行われている。

 まず裁判所では、判事と弁護人が憲法の条文、議会で制定された法律、当事者適格などさまざまな法的問題をめぐって議論を戦わせている。一方、ツイッター上では、大統領がその裁判に対する支持を阻害している。ロバート判事が第45代大統領の大統領令に待ったをかけた後、トランプ氏は次のようにツイートした。

「誰が出入国でき、誰ができないかを国が決めることが、特に安全保障上の理由でそうすることがもうできないとなったら、これは一大事だ!」。続いて発信されたメッセージは、さらに踏み込んだ内容だった。「この判事とやらの言い分は・・・ばかげている。絶対にひっくり返してやる!」

*1=この原文記事が出た後、控訴裁は大統領令を一時的に差し止めた地裁判断を支持することを決定。裁判は連邦最高裁へもつれ込む可能性がある。