(英エコノミスト誌 2017年2月4日号)

トランプ政権の入国禁止差し止め無効要求を却下、米連邦控訴裁

米首都ワシントンの連邦最高裁判所前で、難民やイスラム圏7か国出身者の入国を禁じたドナルド・トランプ大統領の大統領令に抗議する人々(2017年1月30日撮影)。(c)AFP/SAUL LOEB〔AFPBB News

向こう4年間は憲法学者が忙しくなるだろう。

 ドナルド・トランプ米大統領が1月27日にイスラム圏7カ国からの訪問者入国を一時的に禁止する大統領令に署名した。この大統領令に関して最も厄介なのは、大統領が選挙期間中の公約を本気で実行するつもりだということではない。公約したこと――この場合は、イスラム教徒を米国に入国させないという公約――がたとえ違法であっても、大統領はそれを実行する方法を見つけ出す、ということだ。

「大統領の最初の提案は『イスラム教徒の入国禁止』だった」。トランプ政権の司法長官の候補に挙がっていたルディ・ジュリアーニ元ニューヨーク市長はこう説明した。「私に電話をかけてきて、『委員会を立ち上げてくれないか。それを合法的にやる最適な方法を教えてほしい』と言った」

 ヒラリー・クリントン氏を監獄に送りたいとか、拷問を復活させたい(これも選挙期間中の公約だ)といった衝動は抑えられるかもしれない。だが、トランプ氏はすでに、大統領としての妥当性と権限の限界を試そうとしている。

 利益相反の可能性は、その明白な例の1つだ。トランプ氏は、大統領に就任しても事業を売却したりブラインド・トラスト*1を利用したりしない、リチャード・ニクソン以降で初めてのケースになっている。同氏のホテル事業は、大統領就任以降、米国内のホテルの数を現在の3倍に増やす計画を発表している。

 こうした状況自体がすでに心配だが、さらに悪いことに、米国の「チェック・アンド・バランス(抑制と均衡)」の制度もお粗末な状況にある。専制君主の登場を恐れるがゆえに大統領、連邦議会、司法機関(裁判所)の3者が互いに牽制しあう権力の網が、しっかり機能していないのだ。

*1=資産の管理を受託者にすべて任せる信託方式。白紙委任信託。