(英フィナンシャル・タイムズ紙 2017年2月3日付)

仏大統領選、人気トップのマクロン氏が選挙戦スタート

仏リヨンの屋内競技場で、フランス大統領選の選挙集会を開いたエマニュエル・マクロン前経済相(2017年2月4日撮影)。(c)AFP/JEAN-PHILIPPE KSIAZEK〔AFPBB News

 パリで何かが起こった。分厚い雲の切れ間から光が差し込んでくるのが見える。熱狂と同じくらい非フランス的なものとまではいかないにせよ、少なくとも多少の活気によって、おなじみの憂うつな気分が振り払われている。

 英国は自分の属する大陸から離れることを固く決意しているようだ。ワシントンの新大統領は米国をけんか腰な孤立主義に導いている。いずれの政治の物語も悪い結末を迎えるように思えてしまう。ここで、もしフランスがそのパターンに逆らったらどうか。

 英国の欧州連合(EU)離脱を決めた国民投票は、欧州の結束に冷や水を浴びせた。ドナルド・トランプ氏のホワイトハウス入りは、これまで西側と呼ばれてきた陣営の将来に疑問符をつけてしまった。

 実は、間近に迫っているフランスの大統領選挙も、これらに負けないくらい重要な結果をもたらす。イスラム嫌いの極右政党・国民戦線(FN)のマリーヌ・ルペン党首がもし勝利すれば、欧州の自由民主主義は終わりを迎えることになるだろう。EUは英国の離脱には耐えられるが、フランスの離脱には耐えられないからだ。

 ポピュリスト(大衆迎合主義者)の反乱を特徴とするこの時代、選挙の結果を予測するのは向こう見ずだ。フランスは10年近く、経済の低迷に見舞われている。イスラム過激派のテロリストによる、残虐きわまりない攻撃の犠牲にもなっている。フランソワ・オランド大統領の支持率は1ケタ台に落ち込んだ。

 ブレグジット(英国のEU離脱)とトランプ氏の当選を目の当たりにした今、フランスの政治家が大量に排除され、かつての革命の時のように死屍累々となる様子を想像するのは、大した飛躍ではない。