(英エコノミスト誌 2017年1月28日号)

トランプ氏、米大手IT企業トップと会談 関係修復を図る

米ニューヨークのトランプタワーで行われた会談に出席した、(左から)アマゾンのジェフ・ベゾス氏、アルファベットのラリー・ペイジ氏、フェイスブックのシェリル・サンドバーグ氏、マイク・ペンス次期副大統領、ドナルド・トランプ次期大統領(2016年12月14日撮影)。(c)AFP/TIMOTHY A. CLARY〔AFPBB News

グローバル企業は意外なほど攻撃に弱い。

 ドナルド・トランプ米大統領が嫌いなものはたくさんある。巨大なグローバル企業もその1つだ。

 トランプ氏は、顔の見えない根無し草の多国籍企業が雇用や工場を外国に持ちだして普通の米国民を「殺戮」したと非難している。略奪できそうなものを探し回っている多国籍企業を飼いならす、というのがトランプ氏の解決策だ。

 法人税率を下げれば、外国に蓄えられたキャッシュが国内に持ち込まれる。国境税の仕組みを導入すれば、国境をまたぐサプライチェーン(供給網)を妨害できる。グローバル企業のビジネスを助けている通商協定は書き換えられる。懲罰的な扱いを受けたくなければ、「国内にとどまりさえすればいい」。トランプ氏は先日、米国企業の経営者たちにこう言い放った。

 攻撃的な保護主義を振りかざすトランプ氏は異例の存在だが、実は多くの面で時代遅れでもある。

 世界経済統合の原動力である多国籍企業は、2016年のポピュリスト(大衆迎合主義者)革命のずっと前から退却の姿勢に入っていた。業績には以前の勢いはなく、ローカル企業を凌駕しているとはもう言えない。コストや税負担を削減する能力や、ライバルのローカル企業を出し抜く力を消耗してしまった企業も少なくないようだ。

 トランプ氏が激しく「口撃」しているグローバル企業は意外なほど弱く、多くの場合、すでに母国への撤退を始めている。この現象は、世界の商取引に甚大な影響をもたらすことになるだろう。

さや取りの終わり

 多国籍企業(事業の大部分を母国以外の市場で手がけている企業のこと)は、全世界の労働者の50分の1を雇用しているにすぎないが、重要な存在だ。ほんの数千社でありながら、数十億人の見るもの、着るもの、食べるものに影響を及ぼしている。IBM、マクドナルド、フォード、H&M、インフォシス、レノボ、ホンダといった企業群は、経営者の基準になっている。