東芝、社長ら経営幹部が辞任 不正会計問題で

不正会計問題について謝罪する、東芝の田中久雄社長(中央)、室町正志会長(左)、前田恵造副社長(右、2015年7月21日撮影、肩書はいずれも当時)。(c)AFP/KAZUHIRO NOGI〔AFPBB News

 東芝の原子力事業が7000億円規模の損失を出すことが明らかになった。東芝の2017年3月期の決算は1450億円の黒字の見通しだったが、数千億円の減損損失で赤字に転落し自己資本(2016年9月時点で3632億円)も吹き飛んでしまう。つまり、このまま行くと債務超過に陥り、経営破綻の危機に瀕することになる。

 そこで東芝は1月27日の取締役会で、NANDフラッシュメモリー(以下「NAND」)を主力とするメモリ事業を分社化して新会社を設立し、その株(20%弱)を売却した売却益(2000~3000億円)で債務超過を回避する方針を可決した。

 東芝には、「エネルギーシステムソリューション社」「インフラシステムソリューション社」「ストレージ&デバイスソリューション社」「インダストリアルICTソリューション社」の4つの事業部がある。原子力を含む「エネルギー」は今回発覚したように大赤字であり、公共事業性の強い「インフラ」は成長性がない。また「ICTソリューション」は事業が小さすぎる。したがって、分社化して外部資本を注入するとしたら、「ストレージ」しかない。

 その「ストレージ」の中には、HDDと半導体があり、半導体の中には、NANDの他にイメージセンサ、システムLSI、個別半導体(ディスクリート)等がある。今回、分社化するのは、「ストレージ」全体ではなく、「半導体」でもなく、「NANDを主体とするメモリ」だけだった。これは、東芝および「ストレージ」の中で「金のなる木」はNAND事業しかなく、外部資本が興味を示すのはNAND事業しかないため、ある意味、当然の決断だったと言える。

 しかし逆に言えば、NAND事業を分社化した東芝には、「金のなる木」はほとんどなくなり、「赤字のなる木」だけが残ったとも言える。したがって、NAND事業を分社化して、その株の売却益で一時的に債務超過を回避できたとしても、今後東芝が存続できるかどうかは、はなはだ疑問である。よって1年後には“東芝”という社名の総合電機メーカーは、消滅しているかもしれない。

 しかし、それにしても理解できないのは、原子力事業で7000億円規模の巨額損失が突如、発覚したことである。東芝は、損失の規模とその経緯などの詳細は2月中旬に発表するとしているが、今回はこのような巨額損失が生み出された背景事情について考察を試みたい。さらに、東芝本体は分社化したNAND事業の新会社に介入しようとしている気配があるが、それは決してするべきではないということを最後に論じる。