(英フィナンシャル・タイムズ紙 2017年1月24日付)

米新政権、国際機関への拠出金を大幅削減か 多国間条約も見直しへ

米首都ワシントンの国土安全保障省で職員を前にスピーチするドナルド・トランプ大統領(2017年1月25日撮影)。(c)AFP/NICHOLAS KAMM〔AFPBB News

 ドナルド・トランプ大統領の就任式に集まった群衆の数についてホワイトハウスが虚偽の発表を行ったと報じたとき、英国放送協会(BBC)の記者は笑っていた。だが、ここは泣くべきだった。我々が目撃しているのは、米国政府の信用が音を立てて崩れていく事態にほかならないからだ。

 みえみえの嘘をホワイトハウスがばらまいているこの光景は、米国の民主主義にとって悲劇である。世界のほかの国々、とりわけ米国の同盟国も恐ろしい気持ちになるはずだ。「大きな嘘」をつくことにすっかり慣れてしまっているトランプ政権は、世界の安全保障に非常に危険な影響を及ぼすからだ。

 英国の報道番組制作会社ITNのワシントン特派員、ロバート・ムーア氏が述べているように、「もしもホワイトハウスの報道官が明らかに虚偽だと分かることを言っているとしたら、北朝鮮やロシア、イランについて、さらにはISIS(イスラム国)との戦争について報道官が言うことをどうして信用できるだろうか」。これは極めて重大な問いかけだ。

 どの米国大統領の任期中にも国際的な危機は起こる。激しやすく攻撃的な新大統領の気質を考えると、トランプ政権はとりわけ危機に見舞われやすいだろう。

 国際的な対立が生じそうになると同盟国に支援を求めるのが、米国のこれまでのパターンだった。国連の会議場でそうすることもあるし、戦場でそうすることさえある。だが、トランプ時代に入って、大統領やその側近の言うことを同盟国が信じられなくなってしまったら、米国はそうした支援をどうやって得るのだろうか。

 確かに、米国の発言の信用度は、2003年のイラク侵攻後に大量破壊兵器を見つけられなかったことによって著しく損なわれた。しかしそれでも友好国のほとんどは、米国が戦争を正当化するためにわざと嘘をついたとは考えず、誤った情報に基づいて行動してしまったのだと信じた。イラク戦争以降は、オバマ政権が米国政府の信用を回復しようと大変な努力をしてきた。