(英エコノミスト誌 2017年1月14日号)

アディダス、靴の「ロボット工場」 を公開 17年に本格稼働

ドイツ南部フュルトで開かれた独スポーツ用品大手アディダスの株主総会で発言するヘルベルト・ハイナー最高経営責任者(2015年5月7日撮影、資料写真)。(c)AFP/CHRISTOF STACHE〔AFPBB News

ロボットと3Dプリンターでスニーカーを作る

 ドイツ・バイエルン州のアンスバッハという町で、新しい工場が秘密裏に建設されている。ロボットや付加製造(3Dプリンターでモノを作ること)といった目新しい生産技術を導入するだけなら、斬新な工学技術で製造業の基盤を維持してきたドイツでは、それほど意外な話ではない。

 この工場が特別なのは、製造するモノが自動車でも航空機でも電子製品でもなく、スニーカーをはじめとするスポーツシューズであること。つまり、年間800億ドルの売り上げを誇るものの、生産が中国やインドネシア、ベトナムなどにほとんど移管されている製品であることだ。新工場はこの生産を本国に引き戻すことにより、1つの産業を全く新しいものに作り変えようとしている。

「スピードファクトリー」と呼ばれる新工場の持ち主は、ドイツの巨大スポーツ用品メーカー、アディダスだ。建設には同じくドイツの製造設備メーカー、エクスラー・モーションも加わっており、2017年半ばからの稼働が予定されている。当初はゆったりしたペースで進め、最終的には年間50万足の生産を目指す。

 アディダスは米国のアトランタの近郊にも、米国市場をにらんだスピードファクトリーを建設中だ。両方とも成功すれば、世界のあちこちで立ち上げられることになる。

 毎年およそ3億足ものスポーツシューズを生産している企業にとって、50万足や100万足といった数字はごくわずかだ。しかしアディダスは、スニーカーの作り方を根底から変えることにスピードファクトリーが貢献すると確信している。このプロジェクトから学べる生産技術は、ほかの新工場はもとより既存の工場でも利用できる。消費者が豊かになるにつれてスポーツウエアやカジュアルウエアの需要が伸びているアジア諸国の工場も例外ではない。