Former Prime Minister Matteo Renzi (R) and Italy's newly appointed Prime Minister Paolo Gentiloni pose during a swearing in ceremony at the Palazzo Chigi on December 12, 2016 in Rome. (c)AFP/VINCENZO PINTO

 私は公認会計士、心理カウンセラーとして経営コンサルティングの仕事をしている。その中で様々なご相談をお受けするが、その中にはこういったご相談もある。

 「部下が言うことを聞いてくれないのですが、どうすればいいですか?」

 部下が言うことを聞かない原因はいくつかのケースに分けられる。

部下が言うことを聞かない4つのケース

①こちらが言ったことを相手が理解できていない。
②こちらが言ったことは理解できたが、そのやり方よりも自分の考えたやり方の方がうまくいくと思っている。
③相手との距離が近すぎて馴れ合いの関係になっている、あるいは完全になめられている。
④相手と信頼関係が築けていない、あるいは信頼関係が崩壊している。

 ①のケースはまず相手が理解できているかどうかを確認するために、相手にその内容について説明させる。すると、どこが理解できていないかが分かる。

 ②のケースは相手の考えるやり方を確認し、特段、問題なければ本人のやり方を尊重するが、組織運営上、そのやり方に問題があるのであれば、なぜそのやり方ではいけないのか、その理由を説明する。それでもやり方を変えない場合は罰則を設ける。

 ③このケースで部下が言うことを聞かず、組織の統率が乱れるのであれば、それは上司と部下との間の適度な緊張感を保つ距離感を模索しなければならない。

 加えて、人間性や能力においても一目置かれる存在になるべく自己研鑽を積む必要がある。普段は優しくても怒ると恐い。その迫力もリーダーシップを発揮するうえでは身につけておかなければならない。

 問題は④のケースである。

 相手と信頼関係が築けていない、あるいは信頼関係が崩壊している状態では、何を言っても相手は言うことを聞いてくれない。

 部下とこういった状態にある中で、「何と言えば相手は言うことを聞いてくれるでしょうか?」とご相談を受けた場合、私は「何を言っても言うことは聞いてもらえないでしょう」と答える。続けてこうお話しする。