(英エコノミスト誌 2017年1月7日号)

日本の人口自然減、過去最大の21万人に

東京・浅草の浅草寺で、学生力士に抱かれ、泣き相撲に参加する赤ちゃん(2012年4月21日撮影、資料写真)。(c)AFP/Toru YAMANAKA〔AFPBB News

若者は数少なく、地方自治体は次第に必死になっている。

 テラダ・ミエコさんは1976年、つまりほかの住民たちとほぼ同じ時期に多摩市に移ってきた。東京の郊外にある同市はこのころ急成長を遂げており、若い夫婦や子供たちで賑わっていた。

 だが近年、テラダさんが喫茶店を営んでいる商店街はひどく静かで、常連客もお年寄りばかりだ。多摩の人も住んでいる団地もみんな一緒に年を取ってくたびれている、とテラダさんは語っていた。

 1990年代半ばの日本では、人口に占める65歳以上の高齢者の割合は英国やドイツのそれを下回っていた。ところが非常に低い出生率、称賛に値する長寿、そして狭量な移民政策などが相まって、今日では経済協力開発機構(OECD)の中でダントツに高齢化の進んだ国となっている。

 しかも、その波は新しい地域にも広がっている。農村部にはもう何年も前から、高齢者ばかりの集落が数多く存在するが、これはそこで生まれ育った若者が都会に出て行ったためだった。今日では、都市の郊外もグレー(白髪まじり)になりつつある。

 多摩市が属する東京都では2010年から2040年にかけて、65歳以上の高齢者が270万人から410万人に増えると予想されている。この時点で都民の3分の1が高齢者になる。多摩市ではこの高齢化がさらに早く進むだろう。子供の数はすでに急減しており、廃校になった学校の1つは市役所が使用している。

 統計の専門家によれば、多摩市では65歳を超える市民の割合が2010年には21%だったが、2040年には38%に達する見込みだ。同じ30年間で、75歳超の市民の割合は2倍以上に高まる見通しだ。

 多摩市の住民はすでに、混乱した様子で市街をさまよう高齢者の増加におびえている。市役所の職員らは、2025年までには高齢の住民のほぼ4人に1人が寝たきりになり、7人に1人が認知症を患うと予測している。おまけに、ここは高齢者にとって理想的な土地だとはとても言えない。傾斜のきつい丘陵地帯に造られた街であるうえ、多くの住民が住む5階建ての団地にはエレベーターが付いていないのだ。