2017年前半の原油市場を最も左右するのは米国

サウジアラビアでは「お家騒動」の懸念も

2017.01.13(金) 藤 和彦
    http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/48891
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 政治リスクに関する調査会社ユーラシア・グループは1月3日、2017年の世界の「10大リスク」を発表した。それによると、首位は「独立した米国」だった。つまり、トランプ次期大統領のもと米国が世界の諸問題の解決などでリーダーシップをとらなくなる可能性があるという指摘である。筆者は以前から「シェール革命により米国でエネルギー・モンロー主義が台頭する」と主張してきたが、米国が中東地域でのプレゼンスを大幅に下げていくシナリオが一気に現実味を帯びることになるかもしれない。

「米国第一主義」の負の影響

 トランプ新政権に関しては、トランプ氏が掲げる「米国第一主義」の経済に与える悪影響についての関心が高まっている。その最大のリスクは「この改革によって米国経済が潤ったとしても、その他の世界経済が極めて厳しい展開になる」ことである。

 新政権は投資の国内回帰を目指している。これにより米国での生産が刺激され、輸入が減少し、貿易収支の赤字は減少する可能性がある。しかし、製造業の再生に寄与することはあっても、経済の大半を占めるサービス産業の活性化にはつながらないだろう。

 さらに問題なのは、新興国をはじめとする世界経済に与える負の影響である。

 米国への輸出が減少するばかりか、米国の貿易収支の赤字の縮小によって世界に流通するドルが不足し、世界の金融市場での流動性が逼迫する懸念がある。新興国を中心に債務残高が急膨張している中にあって、ドル高や金融市場の「引き締まり」が起きれば、国際金融危機が生じる確率は急上昇するだろう。

 また、米国内では人手不足によるインフレ懸念の高まりから、「3月に米連符準備制度理事会(FRB)が追加利上げを行う」との観測が出ている。昨年12月の米FRBの利上げはトランポノミクスの「上げ潮相場」の影響に相殺され、原油価格の下落をもたらさなかったが、3月の利上げは原油価格にとって大きなマイナス要因である。

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経済産業研究所上席研究員。1960年、愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒。通商産業省(現・経済産業省)入省後、エネルギー・通商・中小企業振興政策など各分野に携わる。2003年に内閣官房に出向(エコノミック・インテリジェンス担当)。2016年から現職。著書に『日露エネルギー同盟』『シェール革命の正体 ロシアの天然ガスが日本を救う』ほか多数。

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