(英エコノミスト誌 2016年12月24日/31日合併号)

米ウィスコンシン州、再集計でもトランプ氏の勝利変わらず

米アイオワ州デモインで演説するドナルド・トランプ次期大統領(2016年12月8日撮影)。(c)AFP/TIMOTHY A. CLARY〔AFPBB News

冷笑的な見方と党派による分裂を促すことが、任期を乗り切る可能性を最も高める。

 億万長者のシルビオ・ベルルスコーニ氏が政治家として絶頂期を迎え、数々のスキャンダルや訴訟に見舞われても池のワニが浮草を押しのけるがごとく軽くあしらっていたころ、イタリアのとある大学教授から、ベルルスコーニ氏が政治の世界でいかにして生き延びてきたかを説明する際には、イタリア語の「furbo(フルボ)」と「fesso(フェッソ)」という単語が役に立つという話を聞いた。

 いわく、首相だった同氏を最も強く支持したイタリア社会の一角では、フルボ(ずる賢く、世渡りがうまい人)だと見なされるのはかなり名誉なことだ。フルボは行列への割り込み方や税を回避する方法を心得ており、バイオリンの名器ストラディバリウスのように縁者びいきや利益供与のシステムをうまく操る。

 フェッソはその逆で、すぐにだまされる人を指す。行列にはおとなしく並び、システムが不正な手段でかなり操作されていることや自分の納めた税金のいくらかがいずれ盗まれることなどを理解できない。

 例えば、自分の住む街に新しい大気浄化条例が設けられるとエリートが発表すれば、世間知らずなフェッソはそれを額面通りに受け取って喜ぶかもしれない。ところがフルボはそうではなく、汚染物質除去装置を納入する、実入りのいい契約を獲得した人物には、役所の環境課に義理の兄弟がいるのではないか、と考える。

 ベルルスコーニ氏のファンは、同氏をフルボの中のフルボだと見なした。そして同氏は、世渡りのうまい冷笑主義者に露骨にアピールすることで、ファンの声に耳を傾けていることを示した。政敵の中道左派を支持するイタリア人は単に間違えているだけでなく、「自分の利益に反すること」に賛成票を投じるような「coglioni(コリオーニ)」だと言い放ったのだ(ちなみに、コリオーニは大雑把に訳すと「大ばか野郎」となる)。