おいしい店はどこ?江戸時代にもあったグルメガイド

料理書、ガイド本の発展で花開いた江戸の食文化

2017.01.06(Fri) 佐藤 成美
筆者プロフィール&コラム概要

 料理屋ガイドが流行すると、有名店が誕生し、有名店を番付する評判記や、有名店がコマに並ぶ双六も登場した。

『富貴地座位』(悪茶利道人著、1777年)は、有名な商店と商品名をランキングしたもの。『流行料理献立竸(くらべ)』(気盛庵著、1854年)は、江戸の料理屋129店を番付した。

 また、『即席会席御料理』(1859年)では、江戸で有名な高級料理店を大関、関脇、小結というように番付した。いわばミシュランガイドのようなもの。先の八百善は、番付に入らず、別格で扱われ大きな文字で名前が記されている。流行した絵入りの読み物や浮世絵にも、食を題材にしたものが数多くみられる。

 双六のほうでは『江戸名物菓子屋双六』(歌川国芳画、1847年)が知られる。江戸の名物菓子屋20種類をめぐる双六だ。

江戸時代のレシピが甦る

 こうした料理本やグルメ本をぜひ見てみたい。豆腐百珍のように現代語訳され注釈付きの本や古典料理書の複製版である『翻刻 江戸時代料理本集成』(吉井始子編、臨川書店)などが出版されている。また、原書は大学の図書館や博物館などに所蔵されている。

 国文学研究資料館と国立情報学研究所は、源氏物語など約700点の古典をインターネットで公開しており、その中には『万宝料理秘密箱』の中の「卵百珍」が含まれる。さらにくずし字で書かれた卵料理20点のレシピを現代語に訳して公開した。

 しかし、料理を再現しようとすると、当時の材料や道具、計量の単位が現代と異なるため、文化的な背景の理解なしには困難だ。そこで、手始めに「冷卵羊羹」など5点を現代の材料や道具でもつくれるようにわかりやすくして、クックパッドで公開。レシピ数は増えている。和食の歴史と文化を理解する一助になればと試みたそうだ。

 江戸時代の人々の姿を思い浮かべながら、チャレンジしてみたい。

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サイエンスライター、明治学院大学非常勤講師(生物学)、農学博士。食品会社の研究員、大学の研究員、教員などを経て現在に至る。研究所の広報誌やサイトなどにも原稿を執筆している。著書に『「おいしさ」の科学』(講談社ブルーバックス)『お酒の科学』(日刊工業新聞社)など多数。


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