安倍政権が進める働き方改革は成果をあげられるか?(写真はイメージ)

物価が上昇しない根本的な理由

 安倍内閣が力を入れている政策課題に、働き方改革がある。同一労働同一賃金、正社員だけではなく契約社員にもボーナス支給、過労死の根絶などがその内容となっている。大賛成である。

 日本銀行が異次元の金融緩和を続け、マイナス金利という異常な金利政策を導入しても2%の物価上昇という目標は、まったく見通せなくなっている。

 内閣官房参与としてアベノミクスを理論面から支える経済学者の浜田宏一・エール大名誉教授でさえ次のように語り、事実上、アベノミクスの誤りを認めるまでに至っている。

「私がかつて『デフレは(通貨供給量の少なさに起因する)マネタリーな現象だ』と主張していたのは事実で、学者として以前言っていたことと考えが変わったことは認めなければならない」

「金利がゼロに近くては量的緩和は効かなくなるし、マイナス金利を深掘りすると金融機関のバランスシートを損ねる。今後は減税も含めた財政の拡大が必要だ。もちろん、ただ歳出を増やすのではなく何に使うかは考えないといけない」

 なぜ物価が上昇しないのか、その理由は簡単なはずだ。消費が低迷しているからである。なぜ消費が低迷するのか。昨年、実質賃金は伸びたが、それまでは4年連続でマイナスであった。当然、将来不安もあり、少々上がったとしても財布のひもは簡単には緩まないということだ。