(英フィナンシャル・タイムズ紙 2016年12月23日付)

トランプ氏、新設の「国家通商会議」トップに対中強硬派を指名

米フロリダ州パームビーチで報道陣の取材に応えるドナルド・トランプ次期米大統領(2016年12月21日撮影)。(c)AFP/JIM WATSON〔AFPBB News

「違法な輸出補助金」と大書された爆撃機が、太平洋を渡って米国の工場に爆弾を落としていく。海に浮かぶ軍艦もこれに加勢し、「為替操作」と書かれた大砲から砲弾を撃ち込んでいく。

「中国政府は米国の工場や雇用に持続的かつ壊滅的な攻撃を加えるために、こうした雇用破壊兵器を使ってきた」。ハリウッドで俳優・アニメ声優として活躍するマーティン・シーンの抑揚をつけたナレーションが流れる。

 これは2013年制作のドキュメンタリー映画「Death by China(中国がもたらす死)」の一場面だ。監督はピーター・ナバロ氏。作家であり、経済学者であり、近々通商担当の米大統領補佐官に就任する人物だ。

「米国を防衛し、自分のご家族を守るのに力を貸してください。中国製品を買わないでください」

 今年になってインターネットに投稿されたこの映画の紹介動画で、ナバロ氏は視聴者にこう語りかける。そしてその数十秒後、コメントの意味が分からない視聴者がいた場合に備えた映像が流される。柄(つか)の部分を100人民元札で覆った短剣が、米国の地図に突き刺さるというアニメーションだ。

 自己主張の強い経済ナショナリストによる極端な見方にすぎない、と以前は見なされていたこの映像が、にわかに注目を集めている。ドナルド・トランプ氏と次期政権は世界貿易のルールをどのように書き換えようとしているのか、中国にどのように立ち向かい、世界で最も重要な二国間経済関係をどのように変えていくのかを見通す手がかりを探るためだ。