中国・琿春の市街地(出所:Wikipedia)

 中国東北部、吉林省の最東端に位置する琿春(コンシュン)市は、北朝鮮およびロシアと国境を接する地だ。先日、琿春で生まれ育った中国人と都内で会ったところ、筆者にこう語った。

「琿春は今、大きく変わろうとしていますよ」

 筆者が訪れたのは、10年以上前の2005年だ。その頃と比べると、見違えるほど開発が進んでいるという。

 琿春は内陸都市だが、市内の防川という地に立つと、左にロシア、右に北朝鮮の国境を見渡せ、正面の図們江(ともんこう)という川を15キロほど下れば、そこはもう日本海だ(下の地図)。

ピンク色の部分が琿春市。ロシア、北朝鮮と国境を接している(Googleマップ、以下同)
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 琿春はこの地の利を生かして、1990年代初頭から開発を進めてきた。まず、国連開発計画(UNDP)が打ち出した共同開発計画に基づき、琿春、ロシアのポセット、北朝鮮の羅津をつなぐ国際的な物流、貿易、工業の拠点にしようという動きがあった。また2000年代中盤には、琿春と北朝鮮、韓国、ロシアの「港の一体化」を描き、インフラ整備を着々と進めていた。筆者が訪れたのはちょうどその頃だった。

北東アジアの重要な物流拠点に

 開発はその後、さらに進んだ。かつては“発展に取り残された中国東北部の町”だった琿春は、今やすっかり生まれ変わった。