(英エコノミスト誌 2016年12月17日号)

アサド政権が勝利宣言へ=激戦地アレッポ制圧-シリア内戦

シリア北部アレッポ旧市街のモスクのがれきに登るシリア政府軍兵士たち(2016年12月13日撮影)。(c)AFP/Youssef KARWASHAN〔AFPBB News

価値観よりも利害が重視されると、ひどいことが起こり得る。

 グロズヌイ、ドレスデン、ゲルニカ――。都市の中には、破壊されることによってその名を歴史にとどめたものがある。かつてシリア最大の都市だったアレッポも、間もなくその仲間に入りそうだ。

 1000年の歴史を誇るイスラム教の遺跡は瓦礫の山と化した。ロシアの航空機はこの街の病院や学校を標的にしている。市民は砲撃や爆撃にさらされ、毒ガス攻撃を受け、飢えに苦しんでいる。孤立している最後のスンニ派アラブ人地区にいる数万人のうち、何人が、避難した廃虚の中で身を寄せ合ったまま死んでいくのか、もう誰にも分からない。

 約束された安全な避難路がたとえ利用できたとしても、アレッポでの4年に及ぶ苦難が“戦争の破壊行為に無辜の市民を巻き込むべきではない”という原則を打ち砕いてしまった事実は変わらない。そこに生じた空白には、残酷でひどいとしか言えない現実が定着し、これまで以上に危険で不安定になった世界を脅かしている。

 アレッポの悲劇の深刻さを推し量るには、バシャル・アル・アサド大統領に対する最初の抗議行動の様子を思い出すといい。2011年に行われたデモでは、スンニ派とシーア派、キリスト教徒、クルド人が共に仲良く行進していた。

 アサド氏は当初から、イランから大規模な支援を得て、暴力を用いて自国民に過激な行動を起こさせ、平和的な抵抗の余地を握りつぶすことを目指した。反乱者は全員「テロリスト」だとも発言した。当初は暴言でしかなかったが、今では、反乱者の一部は確かにテロリストになっている。