(英エコノミスト誌 2016年12月10日号)

台湾、対米関係の進展期待=蔡政権、トランプ氏との電話会談で

米国のドナルド・トランプ次期大統領(左)と台湾の蔡英文総統(左:2016年10月9日撮影、右:2016年6月27日撮影)。(c)AFP/STAFF〔AFPBB News

中国の指導部は、今のところは、冷静に構えている。

 12月初旬、米国のドナルド・トランプ次期大統領が台湾の蔡英文総統と話をしたとツイートしたとき――「台湾のプレジデント(総統)が電話してきた」――、ワシントンのアジア通はほぼ例外なく激しい動悸に襲われた。

 この電話会談は、ジミー・カーター元大統領が当時「フリーチャイナ」として知られることが多かった台湾との国交を断絶し、代わりに北京の共産党政府を中国として認めた1979年の「正常化」以来、大統領レベルでは初めての米台の接触だった。

 断交当時、米議会は継続的な武器売却のための規定を設け、台湾が攻撃された場合は米国が介入すると示唆することで、台湾を安心させようとした。だが、中国からの猛烈な圧力を受け、米国は常に外交上、台湾と一定の距離を置いてきた。

 中国は台湾を自国の省の1つと見なしており、蔡氏に総統という肩書の敬称を付けることさえ拒んでいる。ワシントンでは長年、米国が現状変更に動くようなことがあれば中国を激怒させ、中国が台湾に戦争を仕掛け、多分に米国を巻き込む恐れがあると想定されていた。

 トランプ氏は、自分が火遊びをしていることを知らなかったのだろうか? ワシントンのアジア専門家たちは、この問いに対するどんな答えも励みになるとは思えなかった。

 が、しかし、奇妙なことが起きた。何も起きなかったのだ。多くの人が予想したような怒りの爆発は北京から発せられなかった。中国の王毅外相は蔡氏の電話を「小細工」として一蹴した。中国の基準に照らすと、これは穏便な反応だ。

 この小康状態の間に、一部のアジア通は止めていた息を吐いた。ひょっとしたら、トランプ氏の外交儀礼違反は、完全に前例がないわけでもなかったのかもしれない。ロナルド・レーガン元大統領は自身の就任式に台湾政府高官を数人招待し、何のお咎めも受けずに済んでいる。