(英フィナンシャル・タイムズ紙 2016年11月9日付)

国土安保長官にケリー前南方軍司令官=次期政権、元将官起用3人目-米メディア

米ニュージャージー州にあるゴルフ場「トランプ・ナショナルゴルフクラブ・ベッドミンスター」で、ドナルド・トランプ次期大統領(左)と写真撮影に応じる元米南方軍司令官のジョン・ケリー氏(2016年11月20日撮影)。(c)AFP/DON EMMERT〔AFPBB News

 かつて「過激派組織ISIS(イラク・シリアのイスラム国)については軍の大将より詳しい」とうそぶいたことがある割には、ドナルド・トランプ氏は制服組の意見を切望しているように見える。

 国土安全保障長官にジョン・ケリー氏が指名される見通しになった。国防長官には「狂犬」の異名を持つジェームズ・マティス氏、国家安全保障担当大統領補佐官には元情報将校で何かと物議を醸すマイケル・フリン氏がすでに選ばれており、トランプ氏は自らの安全保障チームに3人の退役将官を呼び入れることになる。

 トランプ氏はこのほかにも、陸軍士官学校(ウエストポイント)出身のマイク・ポンペオ元陸軍大尉を中央情報局(CIA)長官に指名した。国務長官にはデビッド・ペトレアス退役大将、米国の諜報部門全体を統括する国家情報長官にはマイケル・ロジャーズ国家安全保障局(NSA)局長(海軍大将)の起用をそれぞれ検討している。

 軍の出身者に依存した人事案を受け、トランプ新政権の国家安全保障戦略に対する警告が各方面から発せられている。軍がこれまで以上に政治色を帯びる恐れがあるという警告と、政策が軍事的すぎる性格を帯びる恐れがあるという警告の両方が出ている。

 米国には数十年前から、退役後7年以下の元軍人を国防長官に任命することはできないという規定がある。だが連邦議会の共和党議員たちは、マティス氏に対してはこの規定を免除しようと早速動き出している。一方、一部の民主党議員は、軍の文民統制(シビリアン・コントロール)を堅持すべく定められた法律を回避する取り組みは何であっても阻止しなければならないと考えている。

 国際人権組織ヒューマン・ライツ・ウォッチのケネス・ロス代表は、トランプ新政権が「軍事政権の様相を呈し始めている」とツイッターで警告した。さすがにそこまで厳しく批判する人は少ないが、文民の世界と軍人の世界を分離するのに必要な政治的クッションがこの人事で浸食されかねないと考える向きは多い。