独首相、ニカブ禁止の方針表明 選挙戦視野に対移民で強硬姿勢

ドイツ西部エッセンで開かれたキリスト教民主同盟(CDU)の党大会で演説するアンゲラ・メルケル首相(2016年12月6日撮影)〔AFPBB News

 ドイツのアンゲラ・メルケル首相は12月6日、エッセン市で開かれた与党キリスト教民主同盟CDUの党大会で、ドイツ国内でイスラム女性が身に着けるブルカ、二カブなどのベールの着用禁止を支持する、と表明しました。

 ドイツ国内では、メルケル首相の中東難民受け入れ政策に様々な批判があります。今回の表明では難民や移民の受け入れを制限するとともに、2017年8月以降、これらの衣装の禁止が施行される見通しが示されました。 

 メルケル首相は、昨年発生した89万人にのぼる移民の大規模流入は「二度と繰り返されるべきではない」としつつ、国内に受け入れられたイスラム系の人々の社会同化政策の推進を掲げ、欧州を覆うポピュリズムの力に断固として対抗していく、としています。

 EU先端の話題はどうも読者の関心が薄いようですが、この「イスラム・ベール禁止」と〔ポピュリズムへの徹底抗戦〕を3つの観点から考えてみます。

「ベール」の正体は何か?

 この問題を考えるうえでは、今回取り上げられている「ブルカ」「二カブ」などがどのようなものかを見るのが手っ取り早いでしょう。ネット上の辞書から引用してみます。

 「ブルカ」はアフガニスタンなどで見られる、頭から全身をすっぽり覆う布で、目の部分も日傘か蚊帳のようなレース編みで覆われ、外から人物を直接見ることができません。

 砂漠のきつい日差しから身を守る、といった実利もあると思いますが、端的に言って着ぐるみに近い。

 ブルカはタリバーンが支配地域の女性に着用を義務づけ、イスラム原理主義の象徴のような意味合いを持った面があります。

 ほとんど米国におけるKKK団のコスチュームを思わせるブルカと比べると、黒い布で全身を覆いながら目だけ出ている、日本の忍者を思わせる「二カブ」は、目の特徴で個人を弁別できる可能性がまだあるかもしれません。

 ISIL(Islamic State of Iraq and the Levant=イラク・レバントのイスラム国)は女性に二カブの着用を義務づけ、これに違反した女性は捕らえられ、酸で顔を焼かれるという酷い体刑を受けていることが報道されています。

 端的に言うなら「ブルカ」はアル・カイ―ダ/タリバーン、「二カブ」はISILを象徴する衣服になっており、これらを禁止する法律が欧州各国で施行されています。

 早かったのはフランスで、2011年にはこれらが全面的に禁止、ついでオランダ、ベルギーなどEU中枢の各国でも、ブルカや二カブは禁止されました。