(英エコノミスト誌 2016年12月3日号)

メキシコに「ハリケーン・トランプ」襲来 大統領は就任前にも会談へ

メキシコの首都メキシコ市でドナルド・トランプ氏の米大統領当選を1面で報じた新聞を掲げた男性(2016年11月9日撮影)。(c)AFP/YURI CORTEZ〔AFPBB News

最近の米ドル高は世界経済にとってどんな意味を持つのか。

 世界金融危機後の数年間を振り返る経済史家は、オフショアの米ドル建ての貸し付けブームはいつがピークだったのだろうかと悩んでしまうかもしれない。

 ザンビアが同国初のユーロ債*1を5.4%の利回りで発行し、120億ドルもの買い注文を集めた2012年9月だろうか。

 それともその1年後、国家の支援を受けながらマグロ漁を営むモザンビークの水産会社が発行した8億5000万ドルのユーロ債が完売したときだろうか。

 その間の2013年5月には、ブラジルの国営石油会社ペトロブラスが110億ドルという新興国の企業としては過去最大規模の10年債を、4.35%という低利で発行できた。

 投資家は以前からこれらの債券の購入を後悔していてもおかしくなかったが、最近のドル高でその思いはいっそう強まった。ドナルド・トランプ氏が米大統領選挙に勝利した11月9日と感謝祭の休暇の間に、ドルは裕福な国々の通貨を1つのバスケットにまとめた指数に対して3%上昇した。これほどの短期間にここまで上昇することはめったにない。

 なぜこんな急激なドル高が生じたのか。その理由は、ここ数年のドル建ての借り入れブームに目を向けると理解しやすい。

*1=規制の少ない国際金融市場で発行される債券のこと。欧州単一通貨ユーロとは無関係で、ザンビアのこの債券は米ドル建て