(英エコノミスト誌 2016年11月26日号)

トランプ氏の負債総額は650億円超、報告書記載の2倍 米紙

米首都ワシントンにあるトランプ・インターナショナル・ホテル(2016年3月4日撮影)。(c)AFP/Brendan Smialowski〔AFPBB News

トランプ株式会社の広がりではなく弱点が問題を引き起こす可能性がある。

 インド・ムンバイのウォルリという活気のある地区で、新しい「トランプタワー」の建設が進んでいる。

 一見ごく普通の建設現場だが、そのマーケティングは文字通り夢を売っている。販売資料には、黄金色の構造物が空に向かってそびえ立つ完成予想図と、ドナルド・トランプ氏の写真が配されている。トランプ氏は世界最高水準の人物であり、世界各地の玄関口になっている都市で事業を展開する向かうところ敵なしの男で、アメリカン・ドリームも実現してみせた――。見込み客はそう吹き込まれる。

 この高級マンションを開発しているロドハ社はつい数日前まで、ウェブサイトに「おめでとうございます、次期大統領」というメッセージを掲げていた。ところが、トランプ氏の企業グループが手がけているさまざまな事業と、大統領という新たな役職との間に利益相反が生じる恐れがあるという嵐が突然吹き荒れたことから、このお祝いの言葉は削除されている。

 トランプ氏は、世界的な大物だという伝説を自ら飾り立てている。だが、その伝説と裏腹に、トランプ氏の不動産会社トランプ・オーガニゼーションは世界規模の縁者びいきネットワークに変身しかねないとの疑念が強まっている。

 米国では、世界各地で数十億ドル規模のプロジェクトが進められているという報道や、トランプ氏がビジネスパーソンたちに愛嬌を振りまいている写真、トランプ・ブランドのエキゾチックなビルがまるで米国の倫理崩壊の記念碑のごとくそびえ立っている写真などが流布した。中道左派の経済学者、ポール・クルーグマン氏は、トランプ一族は家長の大統領在職中に100億ドルを稼ぎだす可能性もあると語っている。

 何かと型破りな新大統領だけに、本当にそのようなことになり始めるか否かを判断するのは時期尚早だ。だが、この脅威を理解するにはトランプ氏の会社をありのままに観察・把握する必要がある。