(英エコノミスト誌 2016年11月19日号)

トランプ氏、中国の習国家主席と電話会談 「早期対談を」

中国・北京の売店で売られていた米大統領選でのドナルド・トランプ氏の当選を報じる新聞(2016年11月10日撮影)。(c)AFP/GREG BAKER〔AFPBB News

米中間の蜜月は、多くの識者が思っているほど可能性は低くない。けれども、長続きはしそうにない。

 政治の世界で今年最大の番狂わせがあった。次にはどんな番狂わせが来るのかを予想してみたいと思う。

 ずばり、中国と米国の関係がちょっとした黄金時代に入ると考えることになるだろう。最近当たったほかの予想と比べれば、特段奇異なものではない。だが、正気の沙汰でないと思う人もいるかもしれない。

 何しろ、ドナルド・トランプ氏は選挙期間中、米国から雇用と仕事を「赤子の手をひねるがごとく」奪い取った主犯格は中国だと名指ししていた。貿易戦争になるぞと脅したりもした。自分が大統領になったら就任初日に中国を為替操作国に認定すると公約し、中国からの輸入品には税率45%の懲罰的関税をかけてやるとも吠えていた。

 おまけに、バラク・オバマ大統領が習近平国家主席と9月に交わした気候変動問題に関する合意書――米中関係では珍しい明るい兆し――も破り捨てると約束している。

 さらに言うなら、混乱を極めている同氏の政権移行チームの中で中国を担当することになる人物の名前がいろいろ取り沙汰されているが、そのリストの名前を見て北京の政治指導者たちは安心できないだろう。例えば、国務長官の候補にはルディ・ジュリアーニ前ニューヨーク市長やジョン・ボルトン氏の名前が挙がっている。前者は中国の経験がほとんどなく、後者は中国に対して敵対的な態度を取るタカ派である。

 それにもかかわらず、中国は明るい面に目を向け始めている。この楽観論の原動力は、もしトランプ氏が米国内の雇用創出と経済成長に真剣に取り組むのであれば、最終的には外国との関与と貿易の推進を選ぶだろうという読みだ。

 端的に言って、保護主義と「米国を再び偉大な国にする」ことは相いれない。そう考えると、トランプ氏が選挙期間中に繰り出した脅しの大半はこけおどしということになる(中国政府の高官たちはそうであってほしいと願っている)。

 確かに、トランプ氏は公式的には中国を為替操作国に認定する可能性が高いだろう。しかしそれに伴う調査の結果は、1年後まで公表されない。1年経っても、実務に直接的な影響が及ぶことはほとんどないかもしれない。