【写真特集】米大統領選制したトランプ氏の長女、イヴァンカ

ワシントンのトランプ・インターナショナル・ホテルのオープニングイベントに出席したイヴァンカ・トランプ(左)とドナルド・トランプ親子(2016年10月26日撮影)〔AFPBB News

 「彼女の言うことには、どんなことでも耳を傾ける」――。

 世界最強の軍隊、世界最大の経済力を誇る米国の「最高司令官」に就任することが決まった暴言王で不動産王のドナルド・トランプ氏。他人の言うことは聞かないが、長女のイヴァンカ氏(35歳)には、全幅の信頼を寄せている。

 米大統領選で奇跡の勝利をもたらしたのは、ほかでもないこのイヴァンカ・トランプ氏の存在が大きかった。

 野心や出世欲むき出しのヒラリー・クリントン氏とは一線を画すだけでなく、次期大統領候補と噂されるオバマ大統領夫人よりも、宿敵・民主党から「トランプの秘密兵器」と賞賛され、今では「将来の米国初の女性大統領」とまで持ち上げられる存在だ。

 「トランプ氏の一番のお気に入り」「5人の子供の中で最も優秀」(米メディア)と言われ、大統領選では父親のトランプ氏に片時も離れず同行。

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父親に代わり女性票をかき集める

 身重(第3子を妊娠)でありながら、「トランプの選挙パートナーはイヴァンカ」(ニューヨークタイムズ)と言わしめ、旧ユーゴスラビア出身で英語に強いアクセントがある夫人のメラニアさんに代わり、全米各地での演説やメディアにも多く露出。

 父親と違って、「クール・ビューティー」で上品なイメージを醸し出し、ミソジニスト(女性蔑視者)とされ女性評が芳しくなかったトランプ氏の好感度アップに貢献した。

 政治に関しては素人のイヴァンカ氏だったが、クリントン氏の娘、チェルシー氏など自身の友人にはリベラル派が多く、ニューヨーク州の共和党予備選では「無党派として登録」していたため父親に投票することができず、共和党関係者から「民主党寄り」だと非難されたほどだった。

 しかし、ユダヤ教徒である一方、こうしたリベラル的なイヴァンカ氏の政治的思想が、本戦で無党派層有権者や、さらにはヒラリーを毛嫌いする民主党のバーニー・サンダーズ予備選大統領候補者の若い支持者を引き込んだことが結果的に功を奏したとも言える。

 ヒラリー・クリントン氏の敗戦の原因は女性票の伸び悩みだった。米メディアの出口調査によれば、白人女性票をトランプ氏が過半数の51%を獲得した一方、クリントン氏は43%と低迷。

 イヴァンカ氏は、父親が共和党候補指名後に行う受諾演説の前に、トランプ氏を紹介するという重責を得た。その責務は、娘として「家族や従業員のために戦う父を見てきた。その父はこれから国のために戦います」と父親がいかに家庭的な男性であるかを強調する以上に、「女性の味方」であるということを印象づけることに終始した。

 筆者の知人の米政冶アナリストは「大統領選で不可欠の女性票獲得で、ヒラリーを嫌う特に若年層の女性に絶大な人気のイヴァンカが重要な役割を果たした」と分析する。

 すでにセレブとして著名な上、バリバリのワーキングママである一方、好戦的なヒラリーとは対照的に控えめな印象のイヴァンカ氏は、白人富裕層の「隠れトランプ支持者」をも誘引し、結果的に民主党も「トランプの唯一の救世主」と賞賛。

 ニューヨーカーらしく「勝利の女神」を自ら演じ、文字通り、投開票日には父親に晴れ舞台まで用意した。