トランプ氏の喜びはオバマ氏の苦しみ

共和党のドナルド・トランプ氏(左)とバラク・オバマ米大統領(資料写真、2016年11月10日作成)。(c)AFP/Mandel NGAN AND Jim Watson〔AFPBB News

 米国の大統領選挙がついに終わった。共和党ドナルド・トランプ候補の勝利だった。

 トランプ氏が民主党のヒラリー・クリントン候補を破るという展開は、文字通り誰も予測できなかった。米国では巨大な衝撃波が広がった。

 トランプ氏はなぜ勝ったのか。トランプ大統領の誕生は何を意味するのか。今回の結果を私なりに総括してみたい。

オバマ政権が招いた閉塞感

 トランプ氏の勝利は、米国の大方の予想を裏切る展開だった。選挙の結果を占うときに誰もがまず頼りとする大手メディアなどの世論調査の数字は、ほぼすべてがクリントン候補の勝利を予告していた。

 これまで政治経験がなく暴言・放言の多かったトランプ氏は、母体であるはずの共和党内部でも反発されていた。クリントン氏の多彩な経歴と比べると、足元にも及ばない政治の素人でもあった。

 だが、そのトランプ氏がヒラリー氏を打ち負かした。当選には全米で合計270人の選挙人の獲得が必要だが、トランプ氏は290人を獲得した。クリントン氏が得たのは232人だった。