(英エコノミスト誌 2016年11月5日号)

メイ英首相がEU首脳会議に初参加、仏大統領は強硬姿勢

ベルギーの首都ブリュッセルで、欧州連合(EU)の首脳会議を前に報道陣に向けて語るフランソワ・オランド仏大統領(2016年10月20日撮影)。(c)AFP/THIERRY CHARLIER〔AFPBB News

フランソワ・オランド大統領の支持率が4%に落ち込んだ。

 フランスには「l’appel du vide(虚空の呼び声)」という言い回しがある。崖から飛び降りるなど、自滅的なことをする衝動的な本能を指す言葉だ。この言葉は、衝動に抗いながら、そうした行動を取ることを考える際に感じる「frisson(スリル)」をとらえている。

 フランソワ・オランド大統領は衝動に屈してしまったようだ。

 2人のジャーナリストが先月出版した、オランド大統領(社会党)との録音されたインタビューに基づく全662ページの書籍で、オランド氏はありとあらゆる人を侮辱していた。判事、サッカー選手、自身の内閣の閣僚などだ。

 再選を目指す指導者が、フランス大統領選挙の6カ月前にそのような政治的自殺行為をみせたことで、大統領の味方は唖然とし、彼の政治家としての将来はとめどなく落下することになった。

 これほど混乱している時代の現職大統領が、ジャーナリストのジェラール・ダベ、ファブリス・ロム両氏に4年間で61回も会うことにしたことだけでも驚きだった。彼らはよくエリゼ宮(大統領府)でおしゃべりした。ジャーナリストの自宅で夕食を取ることもあった。

 それより衝撃的だったのは、オランド氏が語ったことだ。

 大統領は司法を「臆病な機関」と呼び、フランスのサッカー代表チームを「育ちの悪いガキ」、貧しい人を「歯抜け」と呼んだ。フランス議会のクロード・バルトローヌ議長の名声を、そして自身の内閣のナジャット・ヴァロー・ベルカセム教育大臣の学歴をけなした。どちらもオランダ氏とは異なり、エリート官僚養成大学院のフランス国立行政学院を出ていない。オランド氏は話のついでに、フランスのシークレットサービスによる標的の殺害を4件承認したことを認めた。

 ダメージは一瞬にして訪れた。書籍の出版から数日内に、大統領は裁判官や治安判事、検事を代表する団体などに8通の謝罪の手紙を出し、「私の思考の現実とは全く無関係だ」と弁解した。

 出版後に実施された世論調査では、オランド氏の支持率はわずか4%だった(図参照)。