(英エコノミスト誌 2016年11月5日号)

FBI「クリントン氏の訴追ない」 メール再捜査も不正見つからず

米ペンシルベニア州フィラデルフィアで歌手ケイティ・ペリー(左)の応援を受けた大統領選の民主党候補ヒラリー・クリントン氏(2016年11月5日撮影)。(c)AFP/Brendan Smialowski〔AFPBB News

本誌エコノミストがヒラリー・クリントンに(架空の)1票を投じる理由

 民主主義は悪い政治形態だと考える米国人は、20年前に比べるとずっと多くなっている。1980年以降に生まれた人に限れば、その割合は4分の1にのぼる。

 もしも2大政党が、若い有権者にどれだけ疑念をたくさん抱かせるかという競争を企てたとしたら、今年の大統領選挙を上回る成果は収められなかったことだろう。

 投票日はもう目前だが、候補者をあらためて2人選んで選挙戦を最初からやり直してもいいと思っている米国人はたくさんいる。もちろん、そんな選択肢は示されていない。次の大統領はドナルド・トランプ氏か、ヒラリー・クリントン氏のどちらかだ。

ポイントはここ

 それほど難しい選択ではない。今回の選挙戦では、トランプ氏はとんでもない大統領になるだろうという兆候が毎日のように示された。

 まず、今にも爆発しそうな人種間の緊張を自分勝手な都合で利用した。経験、気質、性格を考えると、ほかの民主主義国からリーダーシップを期待される国の国家元首には不向きである。世界最強の軍隊の最高司令官にも、米国の核抑止力を制御する立場にも恐ろしいほど向いていない。

 本誌(エコノミスト)に選挙権があれば、これだけでもうトランプ氏に1票を投じることはしない。

 彼は実際、彼の人柄に見合った政策パッケージを手にしている。もし当選したら、トランプ政権は富裕層向けに減税を行う一方で保護貿易を推進し、物価を押し上げて最下層の人々を苦しめるだろう。

 環境政策、移民政策、世界における米国の役割、そしてそれ以外の政策にも本誌は賛成できない。歳入と支出についての考え方は、統計をバカにしているとしか思えない。これでは、たとえ後でひどい目に遭うことが分かっていたとしても、リチャード・ニクソンを選んだ方がまだましだ。

 従って、本誌はヒラリー・クリントン氏に1票を投じる。クリントン家の一員だからとか、クリントン・マシーン*1が嫌いだからというだけの理由で彼女を拒絶する人は、もう1人の候補者の下劣さに注意を払っていないのだ。

*1=クリントン夫妻が長年の政治生活で築いた人脈や集票・集金ネットワークの総称