(英フィナンシャル・タイムズ紙 2016年10月31日付)

中国一の大富豪、スペイン不況象徴の歴史的建物を370億円で購入

スペイン・マドリード(Madrid)のスペイン広場(Plaza de Espana)に面した歴史的建物「エディフィシオ・エスパーニャ(Edificio Espana)」(2014年6月5日撮影)。(c)AFP/GERARD JULIEN〔AFPBB News

 中国に初期に投資した欧米人の一部は、あまりにもひどい失態を演じた。どうしてそんなことができたのか不思議に思わざるを得ない。

 英国のビール大手バスは、1990年代に中国の「開かれた門戸」をくぐって進出したとき、「紅い口」と呼ばれる地方企業の荒っぽい起業家たちを現地パートナーに選んだ。

 次に、冬には凍りつき、夏には洪水に見舞われる北朝鮮に近い僻地にビール工場を建てた。そこは物流があまりにお粗末だったため、値段が高すぎるバスのラガービール「テネンツ」が中国南部の大きな市場に届くまでに2カ月もかかることがあった。怒りが渦巻き、両社の関係は破綻した。バスは2000年に中国事業からの撤退を決めた。

 今度は、中国の投資家が似たような愚行に手を染める番だ。中国企業は今、世界に打って出ることを促す「走出去」という中国政府の通達の実現を追求しているが、驕りたかぶって独りよがりな自己欺瞞の才能にかけては、少なくとも欧米の投資家たちに引けをとらないことが明らかになりつつある。

 2015年半ば以降、400億ドル近い中国のM&A(合併・買収)計画が葬り去られた。安全保障と競争の面から各国政府が懸念を募らせていることが主な原因だ。この数字には、半導体製造装置メーカーの独アイクストロンに対する6億7000万ユーロの買収提案は含まれていない。ドイツ政府は10月、「これまで把握していなかった安保関連の情報」を入手したことで、先に出していた承認を撤回した。

 中国勢のM&Aが承認された後であっても、大々的な問題勃発に至ることがある。往々にして、デューデリジェンス(資産査定)の欠如がその原因だ。

 中国有数の富豪である不動産王の王健林氏は今年、スペインのニュースサイト「ペリオディスタ・デジタル」に対し、フランコ時代から存続するマドリードの象徴的なビル「エディフィシオ・エスパーニャ」を2014年に2億6500万ユーロで取得した後、「犬のような扱いを受けた」と語ったと報じられた。