沖縄で昆布を食べる不思議、多様な和食文化

無形文化遺産に忍び寄る和食衰退の危機

2016.11.04(Fri) 佐藤 成美
筆者プロフィール&コラム概要
和食文化の衰退が危惧されているという。どんな対策があるだろうか。

 海外では、「日本食」が健康食品ともてはやされてブームである。各都市に日本食レストランの数も急増しているという。

 しかし一方で、日本では和食離れが進み、和食文化の衰退が危惧され、和食文化を残すことの重要性が叫ばれている。

無形文化遺産登録は“和食離れ”の裏返し

 和食といえば、まず思い出されるのが、2013年12月に「和食」が国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録されたことだ。和食が世界に認められたとずいぶん話題になった。

 ただし、登録されたのはすしや天ぷらといった個々の和食料理ではなく、“和食文化”である。登録された理由は、日本の伝統的な食文化が消えつつあるという危機感からのもの。

 農林水産省「和食」の保護・継承に向けた検討会が、食生活についての1万人規模のアンケートをとったところ、和食文化を「教わった、受け継いだ」と答えた人は全体の29.8%、「教えた、伝えた」と答えた人はわずか16.8%だった(平成27年度「和食」の保護・継承推進検討会報告書)。

 無形文化遺産となったことを喜んでいる日本人自身が、実は和食離れをしているのである。

 日本の伝統的な食文化における「和食」とは何だろうか。和食を定義するのは難しいが、和食文化を継承するために設立された和食文化国民会議(和食会議)の会長を務める熊倉功夫氏は「和食とは、米飯を主食とし、ご飯にあった汁・菜・漬物および多様な菜によって構成される献立を基本に正しく箸や椀などを使う日本の食習慣である」と言う。

 さらに、だしによるうまみを基本に、みそやしょうゆなどの伝統的調味料を使って作られる食、日本で育まれたもので日本人の生活に定着している食も和食とされる。「国産の食材を主とし、四季折々の自然の恵みに対する感謝の念とこれを大切にする精神に支えられており、地域や家族をつなぐ日本の生活文化なのです」と熊倉氏は言う。

この連載記事のバックナンバー
トップページへ戻る

サイエンスライター、明治学院大学非常勤講師(生物学)、農学博士。食品会社の研究員、大学の研究員、教員などを経て現在に至る。研究所の広報誌やサイトなどにも原稿を執筆している。著書に『「おいしさ」の科学』(講談社ブルーバックス)『お酒の科学』(日刊工業新聞社)など多数。


食の万華鏡

食の安全に対して国民の関心が高まっている。今後、安全で美味しい食の供給国としての日本を考えた時にもこの問題は重要になる。食の安全の話題を中心に、食トレンド、食品マーケットなど、食にまつわる様々なテーマを取り上げる。