(英エコノミスト誌 2016年10月29日号)

ベネズエラ、大統領の退陣求め大規模全国デモ

ベネズエラの首都カラカスで、ニコラス・マドゥロ大統領の退陣を要求する全国デモに参加する大学生たち(2016年10月26日撮影)。(c)AFP/Juan BARRETO 〔AFPBB News

独裁に傾く大統領を辞めさせようと大規模なデモが起こるが、政権交代の兆しは見えない。

 今回の抗議行動はベネズエラ全土で行われた。西はマラカイボから東はシウダード・グアヤナに至るまで、何十万人もの市民が街頭を埋め尽くし、ニコラス・マドゥロ氏率いる権威主義的な左派政権に退陣を求めた。逮捕者は100人を超え、ミランダ州では警官1人が命を落とした。

「この政権は絶対に、選挙を経て退陣したりしませんよ」。首都カラカスのデモに参加していたマッサージ師のマリア・ジルさんはそう語った。露天商のダビド・ムジカさんも「もう抗議するよりほかに手がない」、投票では「何も変わらない」と同意した。

 どちらのデモ参加者も、マドゥロ氏を「独裁者」呼ばわりした。ベネズエラでは、ここ2週間の一連の出来事を経て、この言葉がこれまでよりも大っぴらに口にされるようになっている。

 まず、1週間ほど前の出来事から見ていこう。10月21日、有権者は投票所での署名を数日後に控えていた。大統領罷免の是非を問う国民投票を行うことに賛成の意思表示をするためだ。ところが、その署名手続きが突然中止になった。5つの州の刑事裁判所が、有権者数の少なくとも1%の署名を集めて提出するという国民投票手続きの初期段階で不正があったと断じたからだ。

 この指摘はばかげている。野党側は今年4月、最低限集めなければならない筆数の10倍に当たる200万人分の署名を提出しており、名目上は独立の機関だが実際は政権にこびへつらっている選挙評議会でさえ、そのうちの140万人分の署名は有効だと述べていたからだ。これら5つの裁判所は、判断の根拠を説明しなかった。

 ベネズエラ史上最悪の景気後退と、食料や医薬品の深刻な不足の責任を取るべき立場にある現政権は、自らの支配下にない機関とも協力して任に当たるという建前すら放棄した。まず、野党が多数派を占める議会を無視した。議会は今でも、閣僚が議場に来て今後の計画を説明するか情報を提供するよう求めているが、閣僚が姿を見せることはない。