「偉大なアメリカの復活」には海軍の増強が不可欠。揚陸指揮艦ブルーリッジ(資料写真)

「偉大なアメリカの復活」を表看板に掲げたトランプ陣営は、ようやく大統領選終末期になってその具体的な政策として「350隻海軍の構築」を公表した。

 かつてアメリカでは1980年代にレーガン大統領の下で「600隻海軍」構想が推し進められた。80年代初頭はアメリカとソ連の冷戦のまっただ中であり、70年代中頃から急速に充実してきたソ連の海洋戦力を封じ込めるために、レーガン政権はアメリカ海軍の大増強政策を打ち出したのだった。その現代版が「350隻海軍」構想ということができる。

「戦闘艦」の数を現在の1.5倍に

「350隻海軍」というのは読んで字のごとく海軍の主力艦艇を350隻に増強するということだ。「オバマ政権による軍事費削減政策の結果、第1次世界大戦以降としては最小規模にまで落ち込んでしまったアメリカ海軍艦艇数を増大させる」という政策を一般向けに分かりやすく伝える標語である。

1990年と2016年のアメリカ海軍艦船数の比較