FBI、クリントン氏メール問題の調査再開 選挙戦に打撃

米ノースカロライナ州ウィンストンセーラムで選挙集会を開いた大統領選の民主党候補ヒラリー・クリントン氏(2016年10月27日撮影)〔AFPBB News

 民主党ヒラリー・クリントン候補(以下ヒラリー)のメール問題が再燃している。読者の方は長引くメール問題にうんざりされているかもしれない。

 筆者の見立てでは、ヒラリーはメール問題では生き残る。今年7月、米連邦捜査局(FBI)はヒラリーの訴追を見送った。いま新たに関連メールが発見されたことで、FBIは再捜査を始めるるが、ヒラリーが逮捕される可能性は低いだろう。

 というのも、メール問題の核心はヒラリーが国務長官在任中、公務のやりとりを私的な電子メールアドレスで行っていた点に尽きるからだ。

 問題が発覚した後、ヒラリーはメールの一部を削除しているが、米政府の極秘情報を中国やロシアに売却するスパイ行為をしていたわけでも、国際テロ組織に情報を流出していたわけでもない。

新たに浮上したヒラリーの疑惑

 ただ先週、ウォールストリート・ジャーナル紙がヒラリーの新たな疑惑を報じた。ヒラリーに親しい政治団体が、FBI幹部の妻に約5200万円の政治献金をしたというのだ。

 FBI幹部というのはアンドリュー・マッケイブ氏で、同夫人は2015年にバージニア州議会選挙に出馬した時に政治献金を受け取っている。この献金がヒラリーのメールを調査しているFBIへの賄賂と受けとられているわけだ。

 しかしヒラリー自身が直接関与した証拠は現時点ではつかめていない。しかも、同夫人は選挙に敗北した。

 新たなメール問題と献金問題が浮上しているが、11月8日の投票日までにヒラリーの選挙での優位性を崩すことは難しいだろう。というのも、疑惑を裏づける作業が1週間で終了するとは思えないからだ。

 カネにまつわる話は長い間クリントン家について回っており、本件でヒラリーの支持率が急落するとは考えにくい。

 それよりも当欄では、10月15日に内部告発サイト「ウィキリークス」によって暴露されたヒラリーのメール内容について記したい。これは前述したメール問題とは別件である。