自民党の農林水産業骨太方針策定PTであいさつする小泉進次郎農林部会長(資料写真、写真:日刊スポーツ/アフロ

 安倍政権の中期財政計画は2020年度までしかなく、長期的に財政をどう健全化するのか不明だが、その構想らしきものがやっと出てきた。10月26日、自民党の小泉進次郎氏ら若手議員20人でつくる「2020年以降の経済財政構想小委員会」が「人生100年時代の社会保障へ」という提言を発表した。

 小泉氏は小委員会の事務局長になり、4月に「レールからの解放」という方針を打ち出したが、今回の提言はそれを具体化したものだ。この小委員会は党の正式機関ではないが、小泉氏は未来の首相候補とも目されている。彼は財政と社会保障を救うことができるだろうか?

限界に来た安倍政権のバラマキ財政

 海外から来た人は、東京を見て「日本経済は悪い悪いというが、渋谷の町は世界のどこにもないほどにぎわっている。どこが悪いのか分からない」という。たしかに成長率は安倍政権で年平均0.8%に低下したのに、日本経済について危機感はほとんどない。

 それは人々が将来世代から「前借り」しているためだ。日本の政府債務は1100兆円といわれるが、これは政府のバランスシートに載っているオンバランスの債務だけだ。これとは別に社会保障特別会計で向こう30年に払う約束をしているオフバランスの債務は、純債務ベースで約1600兆円ある(鈴木亘氏の推計)。

 つまり政府部門全体でみると、純債務ベースでも2200兆円以上の債務がある。このうち特別会計の赤字を「社会保障関係費」と称して一般会計から毎年30兆円以上、穴埋めしている。いわば国民は1人2000万円以上のゲタをはいているから、豊かにみえるだけだ。