沈黙続けるボブ・ディラン氏は「傲慢」ノーベル賞委員が非難

仏西部カレープルゲで開催された音楽フェスティバルに出演したボブ・ディラン氏(2012年7月22日撮影、資料写真)〔AFPBB News

 ボブ・ディランのノーベル賞「無視」が話題になっています。

 本稿を書いている10月25日夜の時点で、ボブ・ディラン本人からノーベル委員会への連絡は一切なく、ノーベル委員会もボブ・ディランへの連絡を諦めたとし、授賞式への本人の出席や記念講演の有無などと無関係に賞は与えるとしています。

 「ボブ・ディランは無礼で傲慢だ。でもそれが彼らしい・・・」

 ノーベル委員会のペール・ベストベリ委員長はこのようにコメントしています。

 「彼が何と言おうと彼が受賞者だ」「これは非常に特異な状況。おそらく彼は式典ぎりぎりまで返事を引き延ばすかもしれない」云々。

 でも、これってどうなのでしょう?

 ボブ・ディランの方から、一度でも「ノーベル賞が欲しい」とか「ノミネートしてくれ」という打診があったわけでもない。事前に連絡して「賞をお受けいただけますでしょうか?」という了承の確認もしていない。

 一方的に選出しておいて「連絡がない」というのは、むしろストックホルムの方がよほど「無礼で傲慢」なのではないでしょうか?

政治的バランスとノーベル賞

 よりによって2016年のノーベル文学賞がどうしてボブ・ディランなのか?

 10月13日に授賞の報を聞いて、個人的に第一に思ったのは米国大統領選挙へのひじ打ちという可能性でした。