(英エコノミスト誌 2016年10月22日号)

露大統領、仏訪問を中止 シリア問題で対立強める

トルコ・イスタンブールで開かれた第23回世界エネルギー会議で演説するウラジーミル・プーチン露大統領(2016年10月10日撮影)。(c)AFP/OZAN KOSE〔AFPBB News

ウラジーミル・プーチンの破壊的で機能不全の帝国を封じ込める方法

 4年前の米国大統領選挙を共和党候補として戦ったミット・ロムニー氏は、米国にとってロシアが「地政学上最大の敵」だと言った。当時、このきわめて滑稽な失言はあちこちで嘲笑され、バラク・オバマ大統領も次のように茶化してみせた。「1980年代(の人間)が当時の外交政策の復活を要求している。冷戦が終わってもう20年になるんだから」。

 時代はこれほど変わるものだろうか。ロシアが米国の大統領選挙に関係するコンピューターに侵入したり、シリアで大量虐殺を取り仕切ったり、クリミアを併合したり、核兵器の使用について不用意な発言をしたりしていることから、今ではロムニー氏の見方が常識になっている。異を唱える米国人がいるとすれば、今年の大統領選挙の共和党候補者、ドナルド・トランプ氏ぐらいだろう。

 ウラジーミル・プーチン大統領は、世界を怖がらせる新しい方法を毎週見つけ出してくる。大統領は最近、核兵器を搭載できるミサイルをポーランド、リトアニア両国に近い場所に移動させた。つい先日は、空母を含む艦隊を北海から英仏海峡に向けて南下させた。シリアの独裁者バシャル・アル・アサドの部隊を攻撃する米軍機があれば撃ち落としてやるという脅迫もしてみせた。

 ロシアの国連大使は、米国との関係はここ40年間で最も緊張していると言ってはばからない。ロシアのテレビのニュースには、弾道ミサイルや防空壕の画像があふれている。プーチン氏の最高プロパガンダ責任者のドミトリー・キセリョフ氏は、「もし戦いが避けられないのならば、先に攻撃しなければならない」というプーチン氏の発言を引用し、「無礼な行動」を取れば「核という結果」を招くかもしれないと警告している。

 実際には、ロシアは米国と戦争しようとしているわけではない。その発言の大半はこけおどしにすぎない。だが、安定と秩序を脅かしていることは間違いない。

 この脅威に対処する第一歩は、ロシアの好戦的な態度はこの国が復活する兆候ではなく、慢性的な弱さのしるしであることを理解することだ。

侵略者ウラジーミル

 本誌(英エコノミスト)の今週号の特別リポートで紹介しているように、ロシアは政治、経済、社会の3分野で深刻な問題に直面している。人口は高齢化しており、2050年までに10%減ると見込まれている。コモディティー(商品)価格の上昇という棚ぼたを利用して国家と経済を近代化する試みは、失敗に終わった。それどころか、プーチン氏は政府を非常に大きくした。