サムスン、ギャラクシーノート7の生産打ち切りを発表

韓国の光州北区警察署が公開した、発火した「ギャラクシーノート7」の端末の写真(2016年9月13日公開)〔AFPBB News

 「こういうことになるとは予想できるはずもないが・・・」

 サムスングループ幹部は、顔を歪める。2016年10月27日、サムスン電子が臨時株主総会を開くのだ。事業売却の承認が主目的だったが、次々と想定外のことが起きてているのだ。

 臨時株主総会の開催が決まったのは9月12日。この日、サムスン電子は、複写機事業を米HPに10億5000万ドルで売却すると発表した。

複写機事業売却で総会を開くが・・・

 同社の複写機事業の売上高は2兆ウォン(1円=10ウォン)。サムスン電子の全体売上高(200兆ウォン)からみればさほど大きいとは言えないが、重要事業の売却ということで株主総会の開催が決まった。

 この臨時株主総会の開催でサムスン電子はもう1つ重要な決定をする。

 李健熙(イ・ゴンヒ=1942年生)会長の長男である李在鎔(イ・ジェヨン=1968年生)副会長を日本の取締役にあたる「登記理事」に選任する事を提案するのだ。

 病床にある李健熙会長に代わって李在鎔副会長が代表理事に就任して名実ともに後継者になるための重要な総会になる。

 実は、この総会の日程が決まったとき、サムスン電子はすでにスマートフォン(スマホ)「ギャラクシーノート7」の発火問題を抱えていた。

 サムスン電子は8月に「最高の機能」を自負するこの新製品を出荷した。ところが、発火事故が続出し、深刻な品質問題を抱えていた。サムスン電子は、バッテリーに問題があったと見てサムスンSDI製から他社製に全面的に切り替え、9月2日に全量回収措置を決めた。

ギャラクシー7問題、早期収拾はかったが

 この10日後にHPへの複写機事業の売却と臨時株主総会の開催を決めたのだ。スマホの品質問題を早期に解決したいという思いが強かったことは間違いない。

 ところが、交換した製品でも発火事故が相次いでしまった。単純なバッテリーの問題ではなかったのだ。10月11日、サムスン電子は、「ギャラクシーノート7」の生産・販売の停止を決める。発売から50日で、戦略スマホの大失敗を決断する羽目になった。

 韓国の一部メディアは、9月2日の全量回収措置以降、「李在鎔副会長の果敢な決断」などと評価していた。実際に、李在鎔副会長がどんな役割を果たしたのかは不明だが、臨時株主総会を前に、大きな汚点になってしまったことは間違いない。