【写真特集】今も残る爪あと、東日本大震災から3年

東日本大震災の被災地、宮城県名取市の旧閖上中学校校庭で行われた津波犠牲者の追悼式で空に放たれたハトの形の風船(2014年3月11日撮影)。(c)AFP/KAZUHIRO NOGI〔AFPBB News

 私たちヒトが進化した第4紀という地質時代は、気候変動や火山活動が活発に起きた時代だ。このためヒトは、過去約10万年の進化の歴史を通じて、多くの災害を経験してきた。おそらくその結果、災害のあとに絆を強め、困難に対して協力して立ち向かう性質を身につけてきた。

 災害は確かに不幸な出来事ではあるが、災害を通じて社会の絆が強まる面がある。災害の経験から学ぶことを通じて、私たちはよりよい社会を築く上でとても重要なヒントを得ることができる。

「教室から災害の現場へ」ハーバードビジネススクールの試み

ハーバードはなぜ日本の東北で学ぶのか 世界トップのビジネススクールが伝えたいビジネスの本質』(山崎 繭加 著、ダイヤモンド社)──成田空港の書店で本書を見つけ、読んでみて驚いた。

『ハーバードはなぜ日本の東北で学ぶのか』山崎繭加 著、竹内弘高 監修、ダイヤモンド社、税別1600円

 私たちが九州大学の「持続可能な社会を拓く決断科学大学院プログラム」で行っているリーダー養成のための現場教育とよく似たフィールドコースを、ハーバードビジネススクール (HBS) が実施しているのだ。しかも、私たちも実習で訪問している東日本大震災の被災地で。

 HBS の東北訪問は2012年以来すでに5回を数えているので、2014年にスタートした私たちよりも2年先輩である。上記の本には、HBSの学生たちによる東北での取り組みの経過と成果が生き生きと描かれている。

 ビジネスとは何か、リーダーはどうあるべきか、社会をどう変えていけばよいか、これらの問いに興味がある方には、必読の1冊だ。

 HBSは、世界でトップクラスの経営大学院(2年制修士課程)だ。大学卒業後にさまざまな企業や、軍隊、政府機関、NPOなどで実務経験を積んだ優秀な人材が、さらなる研鑽を積むために世界中から集まる。そのHBSの人材育成は、教科書を使わない「ケース・メソッド」で行われてきた。

「ケース」とは、ある組織の具体的な課題について書かれた十数ページの教材である。HBSは世界中の組織を調べ、「ケース」という教材にまとめている。その中には、トヨタ、京セラなどの日本企業も数多く含まれている。