「減産協議バブル」にとどめを刺すのは中国か

原油需要の伸びが減速、不動産市場崩壊という爆弾も

2016.10.21(金) 藤 和彦
    http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/48176
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中国の不動産市場が「一巻の終わり」を迎える日

 中国政府は「国慶節」(10月1日)から住宅市場に対する引き締めを強化した。

 中国の住宅市場のバブルぶりは猖獗(しょうけつ)を極めつつある。中国国内の住宅販売価格は年初から急伸し、8月までに前年比40%以上と6年ぶりの増加幅となっている。中でも南京市と上海市で30%以上と高騰している。政府が発表する8月の新築住宅の価格動向も、主要70都市のうち64都市で値上がりし、7月の51都市から大きく増加した。経済成長の鈍化を食い止めるため、政府は住宅市場のテコ入れを図ってきたが、予想以上の過熱ぶりに政策を転換させた。

 だがその結果、中国からの資金流出が再び活発化しているのが気がかりである。

 10月から国際通貨基金(IMF)の特別引き出し権(SDR)の構成通貨に正式採用された人民元だが、その下落が止まらない。

 8月の人民元の流出額は、過去5年間の月平均(44億ドル)を大幅に超える277億ドルだった(10月11日付ブルームバーグ)。ドイツ銀行は「中国の緩和的な金融政策などにより今後2年間にドルに対して17%下落する」との見通しを示した。

 人民元安の傾向が続いているにもかかわらず、中国の9月の輸出額は前年比10%減の1845億ドルと今年2月以来7カ月ぶりの大幅な減少となった。輸出の大幅減少が6年ぶりの安値で推移する人民元への下押し圧力となり、資金流出がさらに拡大する悪循環が懸念されている。

 資金流出の懸念から、株式市場でも外貨建ての取引で下落が目立つようになっている。資金流出のリスクを覚悟しつつ製造業の輸出を支援するため中国政府は人民元安誘導を実施してきたが、効果がなければ今後資金流出を防ぐために人民元高誘導に変更する可能性があるのではないだろうか。度重なる人民元買いのための介入で外貨準備が目に見えて減少していることから、中国政府は今後金利の引き上げを現実的な選択肢として検討することになるだろう。

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経済産業研究所上席研究員。1960年、愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒。通商産業省(現・経済産業省)入省後、エネルギー・通商・中小企業振興政策など各分野に携わる。2003年に内閣官房に出向(エコノミック・インテリジェンス担当)。2016年から現職。著書に『日露エネルギー同盟』『シェール革命の正体 ロシアの天然ガスが日本を救う』ほか多数。

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