トランプ氏がすぐ背後に… クリントン氏、討論会での「奇行」語る

米ミズーリ州セントルイスのワシントン大学で、第2回大統領選討論会に臨むヒラリー・クリントン氏(手前)とドナルド・トランプ氏(2016年10月9日撮影)。(c)AFP/Paul J. Richards〔AFPBB News

 近ごろアメリカでバカ受けしている「トランプ俳優」がいる。髪型をご本人そっくりに整え、唇をへの字に結んでのっしのっしと登場するだけで、観客は大喜び。ひとこと口を開けば、その声と仕草のあまりのトランプ氏ぶりに客席は爆笑につつまれる。

爆笑の大統領選パロディ

 高視聴率で知られるNBCテレビのコメディバラエティ番組「サタデー・ナイト・ライブ」は現在、大統領選のパロディに全力をあげている。その主力として気を吐いているのがアレック・ボールドウィン。若いころは二枚目として鳴らしたが、58歳の今は体にけっこうな肉がつき、とぼけ味のある脇役として活躍中の大物俳優だ。

 ボールドウィンはトランプ氏の特徴を実によくとらえている。最初の大統領候補テレビ討論会の直後に放送されたパロデイ寸劇では、実際のトランプ氏がそうだったように終始不機嫌な様子を見せ、顔面を紅潮させて荒々しく発言し、クリントン氏の発言を再三(実際の討論会では50回以上)さえぎった。

 一方で女性コメディアン演じる「クリントン氏」は冷静さを失わず、得意の政策論を自信たっぷりに展開。それに押された「トランプ氏」は次第に落ち着きを失い、ついには露骨な表現で女性やマイノリティーへの差別発言を連発してしまう。その様子をじっと見ていた「クリントン氏」が目に涙をあふれさせ、今日はうまく行きすぎてるわ、まるで夢みたい! と感激して爆笑を誘った。

 第1回討論会のエッセンスを痛快に描き出し、ボールドウィンの怪演で爆笑をさそった寸劇の評判はSNSによってたちまち拡散し、放送後にアップロードされたYouTubeの映像だけでもすでに1600万回以上再生されている(注:リンク先の動画は日本国内では視聴できないようなので、ボールドウィン扮するトランプをご覧になりたい方は「Alec Baldwin」のキーワードでYouTubeの動画を検索していただきたい)。この人気ぶりをニューヨークタイムズ紙、ワシントンポスト紙、CNNなど主要メディアが追いかけて報じることにより、「トランプ俳優」の活躍はいっそう社会現象化している。