(英エコノミスト誌 2016年10月8日号)

ドイツ銀行、顧客に7200億円を誤送金 報道

ドイツ・フランクフルトにあるドイツ銀行本社(2015年6月9日撮影)。(c)AFP/DANIEL ROLAND〔AFPBB News

ドイツ銀行のことが心配だろうか? 悲しいかな、よそに目を向けても、喜べるところはほとんどない。

 不安な気持ちになるような静けさは不快だが、吐き気がするパニックよりはましだ。9月29日午後、ドイツ銀行の株価が再び急落し、34年ぶりの安値を付けた。「およそ10社」のヘッジファンドが、取引の一部をドイツ銀行からほかの金融機関に移したとブルームバーグが報じたことがきっかけだった。

 この日の急落は、世界金融危機の前に米国内で住宅ローン担保証券(RMBS)を不正に販売したとの理由で米司法省がドイツ銀行に140億ドルの和解金の支払いを求めた後の胃が痛くなるような2週間の締めくくりとなった。以来、まだかなえられていないものの、50億ドルあまりで決着するとの期待が、やや不安になるような小休止をもたらした。10月5日時点で、株価は直近の安値から20%ほど高い水準で推移していた。

 手ごろな金額で早急に折り合えば、この請求にまつわる不確実性は解消され、ドイツ政府が同国最大手のドイツ銀行を支える必要が生じるかもしれないという、両者がともに一笑に付した噂話も聞かれなくなるだろう。

 ドイツ銀行としては、一息付く余裕もできる。このところ上昇しているとはいえ、株価は今年に入って半値以下になっている。同行は欧州のほかの大手銀行に比べると自己資本のクッションが薄い(図参照)。すでに投資家に増資を要請する必要があるのかもしれないが、同行は増資をしないと述べている。その代わり、資産の売却を計画しており、遅まきながらリストラにも着手した。

 だが、同行が是が非でも回避したいのは(恥を忍んで救済してもらうことを除けば)今このタイミングで投資家に頭を下げ、増資に応じてくれるようお願いすることだ。増資を今実行すると、払い込まれた資金がそのまま米司法省のポケットに入ってしまいかねないからだ。