(英エコノミスト誌 2016年10月1日号)

ゲームボーイ発売25周年、ポータブルゲームの草分け

都内のゲーム販売店に設置されたゲームキャラクターの置物(2014年4月17日撮影)。(c)AFP/Yoshikazu TSUNO〔AFPBB News

据置型ゲーム機業界の巨人は1世代分のゲーム愛好者をスマートフォンに奪われた。果たして取り戻せるだろうか。

 任天堂の株価はこの1年、「スーパーマリオブラザーズ」の非常にわくわくする場面でのジャンプと、その後の自由落下にも匹敵する乱高下を演じている。

 同社のこの大ヒット作は30年以上前、ずんぐりむっくりのイタリア人配管工「マリオ」を幾千万もの家庭に紹介し、リビングルームでゲームを楽しむ時代の幕を開いた。だが同社はここに来て、スマートフォン(スマホ)向けゲームの台頭に後れを取っている。

 誰もが待ち望む任天堂初のスマホゲームが2015年秋に発表されるとき、その先陣を切るのはスーパーマリオだろう――投資家の多くはそう期待していた。ところが、同年10月に発表されたのは、新しいコミュニケーションアプリ「Miitomo(ミートモ)」だけだった。そのため、株価は10%の急落に見舞われた。

 そして翌2016年7月、現実の世界を歩き回りながら仮想空間の生き物をプレーヤーが捕まえる位置情報ゲーム「ポケモンGO(ポケモンゴー)」が投入されると、任天堂の株価は急上昇。リリースからわずか数週間で2倍以上に上昇し、3万2000円を超えるに至った。市場時価総額は、短期間ながらソニーを抜いた。

 だがその後、任天堂株は1990年以降で最大の急落を演じた。ポケモンGOを主に開発したのは、グーグルからスピンオフした米ナイアンティックであり、その収益の任天堂の取り分は投資家が思っていたほど大きくないことが公表されたためだ。

 9月になって株価はまた跳ね上がった。米アップルのスマホ「iPhone7」の発表会にゲーム界のグル(導師)である任天堂の宮本茂氏が姿を現し、同社初のスマホ用マリオシリーズ「スーパーマリオラン」の投入を約束してイベントの主役の座を奪ったからだ。新たなゲームは日本のモバイルゲーム会社DeNAと共同開発しており、アップルの基本ソフト「iOS」上で動作する。リリースは今年12月に予定されている。

 任天堂の現在の株価は、この「スーパーマリオラン」の発表時より15%高く、年初来の上昇率は38%にのぼる。このゲームは、来年にはグーグルのモバイルプラットフォーム「Android(アンドロイド)」向けも投入される公算が大きい。東京在住のゲームコンサルタント、セルカン・トト氏は、iOS向けとAndroid向けを合わせて15億という破格のダウンロード数を予想している。