(英エコノミスト誌 2016年9月24日号)

北朝鮮核、対話で解決を=中国首相

中国の李克強首相(2016年9月14日撮影、資料写真)。(c)AFP/Etienne Oliveau〔AFPBB News

経済力と軍事力があるにもかかわらず、中国はアジアを自分好みの姿に変える手腕を欠いている。

 米国のアジアへの「ピボット(旋回)」が失敗に終わったと思えた瞬間だった、とささやかれている場面がある。

 同盟国であるフィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ新大統領が、バラク・オバマ米大統領を「売春婦の息子」と罵り忍び笑いを誘ったときのことではない。その数日後に、ドゥテルテ大統領が南シナ海の共同哨戒を含む米国の軍事支援を終わりにしたいと発言したときの方だ。

 ドゥテルテ氏はこのとき、「今は中国が支配している」と明言し、「この地域では中国が軍事的に優位にある」と付け加えた。

 中国は大喜びしている。フィリピンと言えば、中国の南シナ海における活動を問題視し、オランダ・ハーグの仲裁裁判所に画期的な提訴を行った国だ。仲裁裁判所は今年7月、南シナ海の領有権は自分たちのものだという中国の主張を一蹴し、人工島の建設を批判した。怒った中国は判決を無視すると息巻いた。

 これを受けて米国は、判決には拘束力を持たせなければならないと主張した。実際、南シナ海における米国の利益は国際法が守られてこそのものだと以前から論じていた。だから、米国の当惑ぶりは容易に想像できる。主張を認められた原告のフィリピンが、被告の中国に「もういい、自由にやってくれ」と言っているように見えるからだ。

 米国によるアジアへのピボットの狙いは、この地域の同盟国を安心させることにあった。ハリー・ハリス米太平洋軍司令官は先日、「最新式の“クール”な装備をすべてこの地域に持ち込む」と誇らしげに語った。目玉は最新鋭のズムワルト級ステルス駆逐艦の第1号である。映画「スター・トレック」から飛び出してきたような外観であるうえに、艦長の名前は「エンタープライズ号」と同じジェームズ・カーク氏だというおまけ付きだ。

 しかし、米国は太平洋での戦力を増強したものの、防衛予算全体は厳しく抑制されている。片や中国の軍事支出は年率10%の伸びを続けており、その大半が海軍、人工衛星、およびサイバースペース関連のプログラムに投じられている。いかなる紛争が生じても中国周辺の空域と海域に米国を寄せ付けないこと、そしてアジアの同盟国に対する米国の関与を少しずつ低下させることがその狙いだ。