平成28年度富士総合火力演習の様子(出所:陸上自衛隊)

 8月末、富士山麓の東富士演習場において、今年も陸上自衛隊が「富士総合火力演習」を実施した。

 演習は毎年一般公開されている。戦車やヘリコプター、様々な火砲などによる実弾射撃を間近に見ることができるとあって、非常に人気の高いイベントである。

 しかし、元米海兵隊大佐、グラント・ニューシャム氏はこの富士総合火力演習を辛辣に批判する。言ってみれば「歌舞伎」のようなショーに過ぎず、日本国民を勘違いさせる無益なものだというのだ。

 ニューシャム氏は日本戦略研究フォーラムの上席研究員を務める、知日派の中では傑出した軍事専門家である。一体、なぜ彼は演習を批判するのか。まずは、彼が「ナショナルインタレスト」と「アジアタイムズ」に寄稿した内容を簡単にご紹介しよう。

総火演は自衛隊の能力不足を誤魔化すショーだ

「富士火力総合演習」は、何万人もの日本人の観客を集めているが、これは自衛隊の能力不足を隠ぺいするためのカネのかかる「歌舞伎」でしかない。

 今年のシナリオは、「島嶼奪還作戦」のシミュレーションだった。観客たちは演習を見て、自衛隊が日本を防衛する十分な実力を持っていると誤解したかもしれない。だが、日本政府は、自衛隊の抱える深刻な欠点を修正しなければ、戦略的にも軍事的にも敗北を喫することになるだろう。