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2016年度の市場規模は1722億円を予測

 資格取得や語学学習といった個人向けサービスから、新入社員研修やコンプライアンス教育といった法人向けサービスに至るまで、近年インターネットを使ったオンライン学習「eラーニング」の市場が盛況だ。時間を選ばず、通学する必要もないことから、特に多忙なビジネスマンの利用者が増えており、2015年の調査では、80%の企業が導入し、特に3000人以上の企業では、導入率95.8%という高い数字が出ている。

 こうした中、矢野経済研究所ではeラーニング市場に関する調査結果を発表した。調査結果によると、2016年度のeラーニングの市場規模は、前年度比107.9%の1722億円を予測。BtoB市場は、eラーニングの利便性向上などを背景に、顧客企業における利用が一定程度活発化すると見ており、堅調推移を予測した。一方BtoC市場は、主要通信教育サービス事業者が大きくサービス拡充を図る予定であり、こうしたサービスが市場拡大に貢献していくものと捉えている。

利便性の向上により法人向けは好調

 2015年度のBtoB市場規模は、前年度比102.0%の586億5000万円と、堅調に推移した。当該市場は、情報通信技術の向上、モバイル端末の一般化、クラウド環境の進化など、eラーニングの利便性を有する環境を背景に、顧客企業におけるeラーニングの利用機会増加や顧客層拡大をもたらしている。またこれに伴い、導入に対するコンサルティングや個別の顧客要望に応じた関連サービスの需要も増加傾向にあるようだ。

 さらにここ数年は、顧客企業のLMS(ラーニング・マネジメント・システム)に対する投資にも復調が見られており、切り替え・更新案件を中心とする引き合い案件が活発化。LMSベンダー間の競合状況も激しさを増している。ただし、2015年後半より世界経済の先行き不透明感などの影響からか、顧客企業のLMS投資に対する様子見が出始めており、今後における懸念材料も見受けられるようだ。

 一方、コンテンツは顧客企業での内製化が一定程度進んでいる状況にあるものと見られ、コンテンツ制作支援ソフトのオーサリングツールが好調に推移する一方、事業者から提供されるレディメイドコンテンツ、オーダーメイドコンテンツは減少基調にあるものと推察される。