新惑星「プロキシマb」の表面の想像図。左奥の明るい星は恒星プロキシマ・ケンタウリ、その右上の小さな2つの星はケンタウルス座アルファ星AとB。 Image by ESO/M. Kornmesser, under CC 4.0.

 2016年8月25日、恒星プロキシマ・ケンタウリに、惑星が見つかったと発表されました。「プロキシマb」と名づけられたその惑星は、液体の水が存在する地球型惑星の可能性があります。

 この21世紀ではもう、よその恒星系の惑星は珍しくないのですが、今回の舞台はあのプロキシマ・ケンタウリ、天文ファンやSFファンにはお馴染の有名スター(文字通り)です。世間(の一部)は熱狂し、お祭り騒ぎといっていいほどの盛り上がりを見せました。

 さて今回の発見は、どこがそんなに衝撃的なのでしょうか。プロキシマ・ケンタウリの名は、人々のどの辺の琴線をかき鳴らすのでしょうか。

 一言でいうと、私たちの生きている間に、この惑星に探査機を送って観測できる可能性があるからなのですが、以下に解説してみましょう。

はるかなるプロキシマ・ケンタウリは私たちのお隣りさん

 夜空には星がちりばめられていますが、あの星は一つひとつが私たちの太陽のような「恒星」で、光でも何十年何百年もかかるほど遠く離れています。これは、子供のころに驚きとともに教わることです。

 あらゆる恒星の中で最も私たちの太陽に近いのは、ケンタウルス座の「プロキシマ・ケンタウリ」です。

 ただしこの星は暗くて肉眼で見えません。「最も近い」といっても、距離は4.22光年あります。つまり、この星まで旅するには、光の速さでも4年と2カ月と20日ほどかかります。月ロケットの速さだと10万年以上、飛行機なら400万年以上かかります。宇宙ではお隣りさんもこの程度の距離にあるのです。プロキシマ・ケンタウリは最も近くて、なおかつ到達を拒絶する遠方にあるのです。

 プロキシマ・ケンタウリは赤色矮星(せきしょくわいせい)と呼ばれる小さな恒星です。質量は私たちの太陽のたった0.12倍しかありません。表面温度も、私たちの太陽が5777K(ケルビン)なのに対し、その半分の3050Kという低さです。「低い」といっても、地球上では日常めったにお目にかかることのない高温ではありますが。